うるぐす

湯を沸かすほどの熱い愛のうるぐすのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
5.0
【愛に浸かれ。

愛に抱かれろ。】


お願いします。映画館で観てください。
前や後ろの席に座る他人と一緒にこの映画に包まれてきてください。
映画館で、他人のすすり泣く声にもらい泣きしたのは初めてでした。
「そうだよね、これ、泣いていいんだよね?泣くよね??泣こうよ。」って。
どこの席かも知らない人と涙を共有してしまいました。恥ずかしい。
でもそうなんです。泣いちゃうんですよ。

映画を紹介するときに「泣ける」なんて言葉使うの大嫌いなんですよ。泣ける映画だと思って観たら大抵ハードル上げちゃって結果感動できなかったみたいなことにもなりかねないし。
だから、あくまで「すごく素敵でいい映画」だったと言います。
でも、僕は、僕は涙が止まらなかった。
観終わったら疲れました。赤ちゃんが散々泣いてすぐに寝る時のように。



2016年、いや人生ダントツ1位。
愛に溺れると言う言葉があるが、この映画では、思う存分、愛に浸かってください。


内容的なこと
余命を告げられた人が、その余命の間に自分のミッションを遂行する、っていうのは結構展開としてはあるあるなんですけど、そのミッションの肝を観客に一切見せることなく展開していくから、裏切られるし、ハッとする。それでいて、伏線の張り、回収を同時に巧みに行なっていくからすごく物語として面白い。そうそう、愛って大抵後から気づくもんなんだよね。観客さえも双葉の愛に後から気づいたりする。
登場人物がみんな愛らしい。コンプレックスを抱えていながらもそれを個性と見ている側が思っちゃうような可愛らしさ。登場人物の見せ方も上手い。開始10分で、双葉とあずみの映画よりも前の日常がちゃんと見えてるから、すぐにあずみのパートに入った時に感情移入して見やすい。このうまさがやっぱり一番良かったのかなぁ。
最後ちょっと悔しいよ。こっちはボロボロ泣いてんのにさ、登場人物すごいスッキリと前を向いてる。何この気持ち。
なんであなたたちの大事な人がいなくなって、あなたたちは前を向いていて、関係ない俺たちがボロボロ泣くんだよ、って。

これから寒くなるわけだし、そんな時期にこの映画を満員の映画館の中でみんなで観て泣いて心温まってください。
湯を沸かすほどの熱い愛。

ポカポカしよう。みんなで。
うるぐす

うるぐす