斬切りバーニー

残穢 住んではいけない部屋の斬切りバーニーのレビュー・感想・評価

3.7
ちょうど4年前になる。今よりまだ、私にホラー耐性がなかった頃。どうしてもこの映画を見たくて、友達に頼み込み、一緒に家で鑑賞会をした。

私には、どうしても見たい理由があった。それは小野不由美が原作であること。小学生の頃、月刊少女漫画雑誌なかよしに連載されていた「ゴーストハント」を読んだ時の衝撃、高校時代に貪り読んだ「十二国記」は今でも私の大大大好きな小説である。

だけど、なかなか手の出しづらい作品もあって、それがこの「残穢」だった。何度も読もうと挑戦し挫折した身としては、まさに天が私に見ろと呼びかけているように思えたのだ。

話はホラーでありながら、ミステリーでもある。作家である『私』のもとに送られてきた手紙。簡単に言えば、そこに綴られる怪異を辿り、根を見つけるというもの。その辿る経緯が、まるで探偵のように、或いは刑事のように、巧妙に結びついていく様が、実によくできていて面白い。

そして、やっぱりすごく怖い。
もちろん、自分が今住んでいる場所に想いを馳せ、背筋が冷たくなったが、私が一番怖かったのは、あの見えなそうで見える映像や、聞こえなそうで聞こえる音。ものすごくギリギリを攻めてくる。耳をすますし、目を凝らす。部屋の何気ない影や模様が何かに見えてくるし、小さな音にも敏感になる。本気でやめて欲しい。

原作にどこまで忠実かは分からないけど、ようやく概要を知ることができて、私的に非常に満足だ。映画実写化の恩恵を、これほど感じたことはない。今また小説に挑戦したら、今度こそ最後まで読破できるだろうか。