斬切りバーニー

プライベート・ライアンの斬切りバーニーのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
3.7
2024年2月24日、ロシアのウクライナ軍事侵攻が開始した。日々、雑多なニュースが蔓延る中で、それはひときわ異彩を放っていたのを覚えている。それから、どんどん戦争は激化していき、そのニュースを見ない日はもうない……。

ふと「プライベート・ライアン」を思い出したのは、そんな時だった。戦争映画をあまり見たことがない私が、唯一と言える戦争映画の代名詞のようなものである。

しかし、実のところ鑑賞したことはなく、公開当時まだ幼かった私は「恐ろしい」という理由で、鑑賞を拒否した。それを今になって、見ようと思い至ったのは、ある意味で天の采配だったのかもしれない。


今作は戦争の悲惨さ、凄惨さが特に際立っている。見ていて辛くなるが、頭の端ではずっと、「今起きている戦争も、こんな感じなのかな」と考えていた。

遠く離れた異国にいる私からすれば、戦争なんてする奴の気が知れない、意味が分からない、理解できないと思っていたが、殺さなきゃ殺される極限状態では、殺すの一択しか有り得ないのだと、この映画を見て思った。

それは一種のマインドコントロールのようなものであり、敵も味方もたくさん人が死にゆく環境で、感情は失われ、理性は麻痺してしまうのだろう。


今、ウクライナに対しては多くの人道支援が、ロシアに対しては経済制裁などが行われている。そして、どうすれば戦争を止めることができるのか、議論は尽きない。

平和な安全圏にいる私達には、戦争のリアルを知り、実感することは極めて困難だけど、それについて考えて、考えて、考えることが、せめてもの私達のやるべきことだと思う。……というか、それしか出来ないし、それすらも現実的に厳しい。


映画自体のレビューが少なくなりましたが、(これを機に、と言うとウクライナの人達に大変失礼なので、)こんな世の中だから、まだ見たことない人は見てみてはいかがでしょうか。