これをナマハゲ映画と呼ぼう。
少なからず敵に同情してしまう。
マッコール(デンゼル・ワシントン)が敵に宣戦布告をした場面。
悪役の周りに漂う苦々しい空気。
観客も悪役もとんでもない死神を敵に回してしまった事を知っている。
『世界と僕のあいだに』という本が出てくることからも、これは意図的に仕組まれている。
マッコールは理想であり悪役は現実である。
観客の殆どの人が理想的な自分とは程遠いだろう。現実という言葉を使って楽な道を歩む私達には、マッコールは憧れであり、もう少し近い場所にいる悪役の事は少し可哀想だと思ってしまう。
マッコールは言う。
「自分で選べ」と。
でも、この映画を観た私に選択の余地なんて無い。
ナマハゲことイコライザーが悪い子を探して今日もタクシーを流しているのだから。