海老シュウマイ

俳優 亀岡拓次の海老シュウマイのネタバレレビュー・内容・結末

俳優 亀岡拓次(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

本作の登場人物、全員が大好きだ。
麻生久美子にやられっぱなしで、日本一の愛すべきダメ男のヤスケン、そして、自身が投影されたような宇野翔平。
「キャスト目当て」なんてのは低俗に語られるけども、やっぱり映画のキャスティングは大事。

お話として好きなのは、中年→枯れ専の恋愛物語としなかったこと、そして、仕事を通した自己実現が描かれること。
中年の哀愁みたいなもので同情をひくやり方は情けないし、ヤスケンは三田佳子と絶頂を迎えたからこそ、次へ進むことができた。諏訪まで走っていい、その資格がある。

そして、仕事でも日々、思考と試行がありとっても好印象。長らく仕事を続けて軽々とやっつけ仕事もできるのに、それを良しとせずリバイスされていく。
何度もやり直しを経て良いものを作っていく俳優業のコアな部分に思えたし、他の仕事一般にも当てはまりそうで、背筋が伸びる思いがした。

しかも日々の過程が、努力や汗の体力勝負ではなく、思考であり試行なところが良かった。若さを取り戻そう!になりがちなお話になりそうなところで、中年の矜持が描かれて好印象。

にもかかわらず(?)ラストのシークエンスの疾走感もたまらず、泣きながら大号泣なのでした。