グラッデン

DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧のグラッデンのレビュー・感想・評価

4.0
ミュージシャンを題材にしたドキュメンタリーを作る場合、私は大きく分けて2つのアプローチが考えられると思います。

1つは取り扱う事象(イベント)を絞って掘り下げる手法、
もう1つは現在に至る歴史全般を網羅的に取り扱う手法です。

ただし、電気グルーヴは、四半世紀にわたる歴史を作ってきたグループであると同時に、現在進行形で新たなスタイルを見せ続けているグループでもあります。そのことを踏まえると、本作のように、現在に至る歴史を振り返るアプローチがベストだと思いました。

と、簡単に述べたものの、実際の作業は果てしなく大変なものであったと思います。

本作の大根仁監督も実際にコメントされていたとおり、膨大な映像資料をチェックして編集する作業は根気が必要なものであったと思われる。歴史の長さだけ、語るべき映像も相当な量があるはずで、本作で取り扱った映像量を振り返ると、ゾッとするレベルです。

それでも、大根監督のこれまでの監督作品と同様に、本作も映像素材の配置や繋ぎだったり、語り(言葉)で伝えること、映像で伝えることの取捨選択が丁寧に行われていたので非常によくまとまっていた内容だったと感じました。

結果として、膨大な情報を処理しながらも、本作の主題となる部分には真っ直ぐ進んでいたと感じました。そして、何よりも作品の中で伝えたいことを言葉で語るのではなく、彼らの音楽やライブで作る空間を見せる感じてもらう姿勢が一貫していたと思います。

存在そのものが飛び道具のようなグループを超正攻法で攻めていった音楽ドキュメンタリー映画だと思います。そして、誰もが電気グルーヴの音楽を耳にしたくなると思います。