グラッデン

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ーのグラッデンのレビュー・感想・評価

4.2
人口中絶手術が違法だった1960年代のアメリカにおいて、秘密の電話番号を通じて手術を請け負っていた女性たちの連帯を描く実話に基づく物語。

女性たちが運営する団体が提供する秘密の手術は高額だ。主人公も裕福な家庭が故に受けることができた。一方、理由に関係なく貧しい人は受けられず、金さえ払えば避妊に無頓着な子は何度も受けられる。

主人公は、こうした状況に問題視しながら組織の活動にのめり込んでいく。そして、こうした彼女の「引っかかるところ」こそ、本作の重要な部分だということを理解する。

アメリカ国内の人口中絶手術は、1973年の「ロー対ウェイド判決」で認められたが、2022年に同判決が覆されて以降、各州で禁止の動きが広がっている。

今年のアメリカ大統領選で再度争点になることが予想される題材だけに、認められるまでの経緯を考えることで、こうした権利の意味を考える内容になっていたと思う。