わたふぁ

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にのわたふぁのレビュー・感想・評価

4.2
「バッドチューニング」「スクールオブロック」「ビフォアサンライズ」などの青春映画の名監督リチャード・リンクレイターによる新作。
後からジワジワと込み上げてくる、作品への愛おしさを噛み締めているところです。

新学期まで3日と15時間、野球推薦で大学に入学することになったジェイクは野球部の寮にやってきた。騒々しい先輩の仲間たちと共に、ビールとディスコとゲームとナンパ、時にはマリファナや長電話やデートにも興じる大学生活が始まった。

踊って酔って、からかい合う普通の日常のなかに、いい音楽が必ず溶け込んでいる。カフェラテのコーヒーとミルクのように絶妙に。それはリンクレイター作品の元々の特徴だが、この度も心地よかった。
というか、ストーリーの締め方も含めて、他作品に比べて実はこんなに鮮やかにズキュンと射抜かれた作品はなくて、リンクレイターの青春映画、ここに極まれり!と叫びたい気分です。今は。(まぁビフォアシリーズを見返した日には「やっぱこれが最高傑作だ!」と叫ばずにいられるかは自信は無いが。)

大学生が主人公であるし、実にウダウダとして、平凡で平穏な、うららかな映画だ。

しかし、あと2日、あと1日、あと1時間...と、カウントダウンしていくタイマーが表示される時だけ
“緊張”が走るのは、今まさにこの時も、観る者すべてのタイマーは進み続けていて、揺るぎない「今が人生」という切羽詰まった事実を、まざまざと見せつけられるからだろう。