JunIwaoka

神様の思し召しのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

神様の思し召し(2015年製作の映画)
3.0
2015.10.28 @ 28th TIFF

観客賞受賞作だけに面白い映画なのは間違いないんだけど、個人的にイタリア映画は相性悪いんだよな。パオロ・ソレンティーノ監督作みたいにもちろん唸るくらい素晴らしいと思うこともあるんだけどね。
名医としてプライドが高く、家族想いのよい父親を自覚するトンマーゾが、息子のある告白によってあれよあれよといういった具合に家族の信頼が失われてしまう。とは言っても、"Force Majeure (フレンチアルプスで起こったこと)"のように辛辣じゃなく、痛快コメディ。彼が自分の思い通りにしようと画策するだけど、お約束のようなバカバカしい展開に笑い転げ落ちる。監督曰くイタリアは熱心なカトリックの国だけど、最近のインテリ層は自分のこと以外気にかけないみたいでやんわり揶揄している。冒頭に自分の手術を「奇跡ではない私の力だ」と言っていたトンマーゾが、神に祈るしかない自分の変化を自然と受け止めている描き方がなかなかよかった。しかし観終わってみるとあまり印象に残らずに、ラストシーンも物足りなかった。深く考えさせる作品が多いコンペティション部門の中で観客賞に選ばれたので、笑って感動する映画というのは日本で受けるんだなって改めて思う。
一番よかったのは傲慢なんだけど、ふとしたときに優しい顔をするトンマーゾを演じたマルコ・ジャッリーニが素敵な方でした。
JunIwaoka

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