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神様の思し召しのemilyのレビュー・感想・評価

神様の思し召し(2015年製作の映画)
3.7
完璧なオペをこなす若干傲慢で自信家の心臓外科医トンマーゾは医学生の息子アンドレアに後を継がせるつもりだったが、アンドレアが突然「神父になる」と言い出したから大変。誰かに洗脳されたに違いないと思ったトンマーゾは息子を尾行し、神父に近づく。真逆の二人が出会い生まれる友情とは・・

音楽とシリアスな人物達が裏腹な行動で見せるコメディ。息子がゲイかもしれないと勝手な誤解から夫婦と娘とその夫が狭いソファーに座ってアンドレアのゲイのカミングアウトを聞くシーンから笑いが止まらない。シリアスな顔に、狭いソファーにぴったりと寄り添い座った4人の顔が喜劇を生み、そこから怒涛の笑いのオンパレード。しかしドタバタしてるというよりは流れはゆったりしてて、しっかり心情の交差や移り変わりもしっかり描写されている。そのわずかな隙間にしっかり笑いの要素を入れてきて、寄り添う音楽がユーモアに拍車をかける。

自分と真逆の人と出会うことで、今まで考えたこともなかった物の見方や感じ方を知る。裕福な人とはお金や地位があることではない。心が満たされており、愛する人に囲まれていて、その幸せをしっかり抱きしめている人である。トンマーゾが損得勘定なしに、周りの人や家族に徐々に優しくなっていく姿も丁寧に描かれており、徐々に神父の価値観に染まっていく。職業に対する差別心も実際に自分が無職の男、虐待されてる夫を演じて疑似家族を作りあげたことで、職業に対する見方も変わっていく。

冒頭から笑いの渦に囲まれながら、エンドロールの際には涙している。笑いが感動に変わり、涙腺を揺さぶられる。そうして神父の言った「梨が落ちるのは重力のせいではない。それは神のせいだ。」という言葉が光り、自分と神との距離感を考えさせられる。良いことだけでない。悪いことだってこれは神様が与えた試練なのだ。乗り越えられる人にしか与えられない。与えられたことに感謝して、物の見方を変えれば、どんな不幸も幸せに変えられる。
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