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ドント・ブリーズのsmithmouseのレビュー・感想・評価

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)
3.9
格好良いけど呼吸音の煩いベイダー卿に遂に天敵が現る!
皇帝よりも更に寛大ではない破壊的聴覚爺さん家から生還できたら約1億円。

「神の不在を受け入れれば人は何でもできる」

流石はコメディー抜きのスプラッターマシマシで生真面目な「死霊のはらわた」を作ったアルバレス監督!
最初は狭すぎる舞台や少ない登場人物に不安になったけど設定に舞台に水も漏らさぬ様な完璧なクローズドサーキット内には恐怖の空気が充満してた。
メッチャ怖いぜ丼(゚д゚)!
舞台は荒廃したデトロイト。
それぞれが悲しみや止むに止まれぬ事情を抱えた全員悪人なキャラクター達の登場する蠱毒の様な街として描かれる。

アレックスの持つとある強み、ロッキーの動機とあるトラウマ等周到過ぎる材料や伏線が各種事情で脱出不可能な家とその他の中で丁寧に炒めつけられ肌理も細かく調理されていく。
アレックスの心中やロッキーの事情がわかってるだけにワルだけど背筋の凍るような返り討ち劇はざまあみろとは思えなかった。

しかし爺様はその他の奴等とは毛色が違う。
"ブラインドマン"と名付けられた爺様は憎たらしいまでの強靭さと狂人さ(あと間の悪さ)を陰影のきつい画面の中で炸裂させる。
動機はまあまあ理解できても思考が明後日の方向へ飛躍した結果、気味の悪い着地点に落ち着いてる。
只管恐ろしい((;゚Д゚)))。

キャラクター設定上発生する、追う者と追われる者が同時に画面に映るがすぐにはアクセルのかからない独特の"溜め"の様なものも有り見終わってみると怪作として記憶に残る出来だった。

息するな!あと俺の鞄の上にポップコーン溢すな!って映画。
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