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永い言い訳のatsushiのネタバレレビュー・内容・結末

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

人との関係性は変わる。妻(深津)との関係が冷めきっていて、妻の死に涙が流れない幸夫(本木)の気持ちは変えることは出来ず、薄情だと
攻める事は出来ない。

彼と対照的な遺族、陽一(竹原)。妻の留守電の声を繰り返し聞き涙する彼。
彼女の死は陽一家族との繋がりを幸夫に与え荒んだ彼に考える機会を与えた。

「亡き妻に伝えたい事」を聞かれた湖畔のインタビューで爆発した彼の思いは醜くみっともないがリアルだ。陽一家族との繋がりから導かれた幸夫の答え。メモに書かれた''人生は他者だ''という言葉。作家の道を後押ししたのは妻であり、現在の自分を支える陽一家族に気づく… 

"永い言い訳" 
人目ばかり気にする幸夫はこの本で自分をさらけ出すことができたのだろうか?…。妻が出かける間際に言った最後の言葉「悪いけど後片付けはお願いね…」
ラスト、静かに実行する幸夫はまるで別人のようだ。陽一家族と楽しげに笑う妻の写真。幸夫が知らない妻の笑顔。ハサミを眺める彼に、彼女を笑顔にすることができなかった悔みを感じた。
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