スピルバーグ最新作。超巨大VRゲームワールドに製作者が遺した、管理権限を握るためのイースターエッグを手に入れるべく、少年少女たちが繰り広げる仮想世界冒険譚。
毎度鑑賞者を神がかり的にすんなりストーリーに没入させるスピルバーグにしては、今作は導入の手際が若干ぎこちないな……などと序盤は多少心配したものの、《第一の鍵》を手に入れたあと辺りから徐々にブーストがかかり、最後まで突き抜けていった印象。実におもしろかった。何より本作はマリオなどでお馴染みの《READY PLAYER ONE》＝「１P用意」のタイトルが示す通り、がちがちのゲーマー映画でもある。ゲーム世界こそが逃げ道で生き甲斐という少年が、そこで出会った仲間たちと友情を育み、現実に立ち向かう勇気を手に入れるという王道ストーリーは気持ちよく観られた（若干ラストは説教臭いかな、とは思ったけど笑）
たしかに「いや警察何やってたんだよ」とか「セキュリティガバガバすぎだろ」とか気になる点もある。特に気になったのは主人公像。「ゲームにしか逃げ道がない」というのは自分含め結構心当たりのある人が多そうで、正直その辺りをもっと徹底的に描いてほしかったな、という気も。主人公のウェイドは現実ではもっと冴えなくてよかったんじゃないかなあ、とか。ただVR世界とリアル世界、両方から迫る危機をサスペンスフルに描く手際は、さすがのスピルバーグ。「ネット世界で軽々しく本名を口に出してはいけない」「パスワードはパソコンのそばに付箋で張ったりするな」というのは、まさに現実への警鐘的皮肉もきいてて笑ってしまった。「ある映画の中に入り込む」というアイディアも設定を生かしつつ目新しくて秀逸だった。そして何より古今東西の映画、ゲーム、アニメへのオマージュがふんだんに盛り込まれているのも嬉しい。個人的には「俺は○○で行く！」からの〇○VSメカ××というジャパンコンテンツ同士の夢の対決は死ぬほど滾った。
スピルバーグファンはもちろん、映画、ゲーム、アニメ好きはより楽しめる素敵映画なので、心当たりのある人はぜひとも劇場へ！
