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ザ・ギフトのpanpieのレビュー・感想・評価

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
4.3
去年の年末に公開され都合がつかなくて観に行かれなかった今作。
DVDになったら必ず観たかった今作。
大抵期待しすぎると残念な感想になるのだけれどこれははっきり言って好きでした!
大好物かもです!
観終わってかなりの胸糞でしたがかなり教訓的なテーマを盛り込んでおり心当たりのある方には鑑賞に当たって注意が必要です!(^^;;


カリフォルニアでの新居を転職で探しに来たサイモンとロビン夫妻。
窓が多く山の上に位置するこの広く眺めの良い豪邸に新居を構える事になる。
日本では中古で新居を購入する際綺麗にリフォームしてから購入するのに対して外国は内装されておらず入居者が自分好みにカスタマイズ出来るようになっている事に今更ながら日本人としては不思議に思う。
その分購入費用は安いのかな?なんて思ってしまった。笑
サイモンはこの近くの出身と言っていたが妻のロビンは前に住んでいたシカゴ出身。
実家を遠く離れて来たのだろう。
知っている知人も無くさぞかし心細い事だろう。

新居の家具を選んでいたらサイモンの高校時代の同級生ゴードに会う。
ゴードからサイモンに声をかけるがサイモンはなかなか思い出せない。
ロビンと三人で挨拶をした後別れるが次の日ゴードから玄関前に贈り物が届いている。
ワインだ。
赤い封筒にメッセージを添えて。

次の日の昼間にゴードが現れる。
夫が不在なのにもかかわらずロビンはゴードを家にあげ夕食も共にする事になる。
ワインを飲み昔話に花が咲く。
ゴードが帰った後サイモンはゴード事を〝不気味なゴード〟と呼ばれていた事をロビンに告げる。
再開当初サイモンがゴードの事を思い出せない振りをしていたんだ。
不気味だったの?
そんな人なら無理もないのかも。

会社のパーティの後帰宅すると見慣れた赤い封筒と一緒にまた贈り物が玄関に置かれている。
今度は魚の餌だ。
魚の餌?
見ると玄関横の池に水が入れられ数匹の鯉が放たれている。
食事のお礼にしては少しやりすぎ?
観ている方にも不安が募ってくる。

次の日の朝。
ロビンがジョギングしている。
近隣の家々は豪邸で何だか前に見た「不吉な招待状」を思い出した。
あ、そう言えば今作の前の新作紹介で「不吉な招待状」出てたけれどタイトルが「インビテーション」に変わっていました。

話を戻して…
帰宅後近くに寄ったからとまたしてもサイモン不在中にゴードが現れる。
近くに来たから。
一応「サイモンはいる?」と言うのだがどう見ても不在中にロビンに会いに来ているように見える。
少し警戒するロビン。
帰る素振りは無く沈黙の後諦めてロビンはゴードを招き入れる。
テレビを映るように接続してくれるがその際に出たゴミを捨てにキッチンへ行ったゴードは冷蔵庫の前でやや立ち止まり帰っていく。
慌ててキッチンへ向かうロビン。
冷蔵庫にあるマグネットのホワイトボードにWeirdoと書かれている。
サイモンが昨晩書いたのだ。
スラングでキモい奴と言う意味らしい。
酷い!
これで二人の高校時代の関係が分かってしまった!
ゴードにもサイモンがそう思っている事が分かってしまったのだ!

友人を招いてのホームパーティの席でゴードから夕食に招待されている事を皆の前で話すサイモン。
絶対に行かないと言っていたのにその後ゴード宅へ!
きっと彼が今どんな暮らしをしているのか好奇心に勝てなかったのだろう。
門が自動で開きそこには豪邸が現れる。
驚く二人。
突然電話が鳴り急いで会社に行かないとと言い残しゴードは出て言ってしまう。
ゴードが居ない隙に二階の部屋を見に行く二人。
何と女物の衣装が?
水槽のある部屋にはサルのぬいぐるみ?子供部屋?
謎が深くなるが突然ゴードが帰ってくる!
会社に行ったのでは無く金持ちの妻と離婚してサイモンに会う少し前に二人の子供と出て行ったと言う。
段々とゴードが本当に不気味で信用出来なくなってくる。
サイモンはゴードにもう家へ来ないで欲しいと話す。
途中遮って話そうとするゴードに〝俺の話を遮らないで最後まで聞け〟と言い放つ。
ここは伏線だった。
後に同じ言葉が出てくる。
どの会話もお見事で突っ込む所が一ミリもない。
なかなか門を開けないゴードに苛立つサイモンは車から降りて家の中にいるゴードと窓越しに睨み合う。
サイモンはキレキャラなんだな。
ここは観ていてドキドキした。

翌日。
ロビンの電話で自宅へ戻るサイモン。
池の鯉が死んでいた!
飼い犬も見当たらなくなってしまった!
ゴードの仕業?
怒りに任せてサイモンはゴードの家へ向かうがそこには見たこともない夫婦がいてゴードの家ではない事が分かる。
警察に相談するも令状は取れないと言う。

その後もロビンしかいない家で水道から水が出っ放しになっていたり人の気配がしたりこの家の長い廊下を映す時暗闇を上手く使ってのアングルが不気味さを与えている。
誰かに見られている気がする。
誰かいるの?
ロビンは精神的に追い詰められて行く。

その後犬は無事に戻って来たが(本当に良かった!(^-^))ロビンは眠れなくなり悪夢にうなされる事もしばしば。
サイモンは会社で他社へ転職する(引き抜かれた?)ケビンの後釜候補となりライバルがダニー・マクドナルドという人物だと知る。
時を同じくして家でロビンは具合が悪くなり突然倒れてしまう!

翌朝目覚めたロビンにサイモンは言う。
「何か俺に話す事は?」
やや高圧的だ。
言い争う二人。
ロビンはゴードの事がやはり気になっていてストレスとなっている。

やがてロビンは妊娠する。
お祝いに訪れた友人とサイモンの母親と妹。
妹のジョーンと散歩しているロビンは思い切って高校時代のサイモンとゴードの事を聞いてみると意外な事が分かった。
ゴードが性的虐待に合いサイモンと友達のグレッグによって助けられたと言うのだ。
ロビンはその時サイモンと一緒にいたグレッグを探し出し会いに行くと驚愕の真実を知ることになる。

ラストのギフトの衝撃!


ここからの流れはスムーズでロビンの心の動きや行動に疑問は一切なく私もこう行動したと思うし何より彼女には一切非がないのに何故こんな目に合わなければならないのかと怒りすら覚えた。
サイモンが蒔いた種は自分で刈り取るべき。
同情の余地はない。
当たり前だ。
目には目を。

人生を壊された男の復讐劇だった。
時間をかけた恐ろしく完璧な復讐劇に震えた。
復讐だけでなく昇進話も絡めて同時進行させサイモンの糞野郎振りをこれでもかと描いているところが良かった。
胸糞だったにもかかわらずレンタル中に何度も観た。
私の好きなタイプの映画だった。

ジョエル・エドガートンは監督・脚本・主演全てにおいて完璧で本当に素晴らしかった。
私を不安にさせる黒目がちな小さな目が瞬きもせずに画面越しにじっと見つめる。
忘れられそうにない目だ。

サイモンとゴードの対比が素晴らしかった。
当初仕事が出来るいい夫として描かれていたサイモンが過去が明らかになるに連れ裏の顔が次第に顔を出し本当は糞野郎だった!
ゴードは最初のうち不気味でしつこい変質者だと思っていたがそれも頷ける過去の酷い事件をでっち上げられ被害者と言ってもいいのかもしれない。
同情すら覚える。
だからこそのこのゴードの何十年もあたためてきたこれ以上ない程の残酷な仕打ちは私の想像を超えてきた。
こんな事思いもしなかった!
最近の映画はオチが大体見えてしまうのだがこれにはやられました。笑
こんな事は絶対にされたくない。
恐ろしく練られた脚本だった。
カメラワークもスタイリッシュで好みだったし何故か何度も観たくなってしまう。
悪趣味でしょうか?笑

あなたの過去は大丈夫ですか?
同級生を虐めていませんでしたか?
偶然の再会の後のギフトにはご用心を!
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