GreenT

マグニフィセント・セブンのGreenTのレビュー・感想・評価

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)
3.5
これね~、クリス・プラットがカッコいい役じゃん!と思って観始めたのですが、アントワン・フークアが監督と知って余計興味沸いた!

クリス・プラットも、セバスチャン・スタン、チャニング・テイタムと並んであと一歩のところでAリスターにならない俳優さん・・・。でもなんか頑張って欲しかったんだけど、この役いいじゃん!この人もチャニング・テイタムと同じでどことなくユーモラスな雰囲気と言うか、童顔?二枚目になれない雰囲気なんだけど、この流れ者のギャンブラーの役は、ユーモラスだけどカッコいい!

お話は、西部開拓時代のある町。人々は苦労して開拓した土地で農業をしてつつましく暮らしていたが、近郊の鉱山からゴールドが出ることがわかり、悪徳実業家のバーソロミュー・ボーグがやってきて町を牛耳る。町の人はボーグに出て行ってもらおうとするが、ボーグは武力を行使して町の人を追い出そうとし、見せしめにエマの夫を射殺する。

この悪徳実業家を演じるのがピーター・サースガードで、さすがにキモイ悪者上手い。夫を殺されるエマを演じるのはヘイリー・ベネットなんだけど、まだまだ若奥さんって感じで、初々しさがエロい。

エマはボーグと戦ってくれるバウンティハンターを探して近隣の町に行くと、サム・チザムというガンマンを見つける。

サムを演じるのはデンゼル・ワシントンで、この人ウェスタンに出たことなかったそうで、ウェスタン映画も観たことなかったんだって。その割にハマってるなあこの役。

この人がクリス・プラット演じるファラデーをリクルートし、グッドナイト・ロビショーのところに送り込む。ロビショーは南北戦争でサムに助けられた軍人でPTSDを患っている。東洋人のビリー・ロックスとコンビを組んで賞金稼ぎ?をしている。

グッドナイトを演じるイーサン・ホークも、優秀なガンマンなんだけど、PTSDでビビっちゃう感じとか、ちょっと体小さいからすごい説得力ある。東洋人の殺し屋ビリーはイ・ビョンホンが演じているんだけど、日本人に出て欲しかったなあ。だってこの映画の原作って『七人の侍』なんでしょ?

この頃東洋人なんているの?って思ったけど、確か開拓時代にたくさんの中国人を連れてきて山を爆発させてたんだよね。アメリカは黒人奴隷だけじゃなく、中国の人も連れてきていたんだよね。まあ奴隷としてではないのかもしれないけど。

で、旅の途中でコマンチェ・インディアンのレッド・ハーヴェストと出逢う。彼は「お前は変わった運命を歩む」とかなんとか言われて部族を追い出されたらしい。

そしてジャック・ホーンという「人間の服を着たクマ」と呼ばれるマウンテンマンに逢う。山に住んでいて、身体がデカく豪快で、インディアンを300人殺したことで有名。

レッド・ハーヴェストは英語をしゃべらないでインディアンの言葉でしゃべるので、「なんだ、なんだ」って異様に興味を持つジャック・ホーンが面白い。

あ、忘れてた!メキシカンのお尋ね者バスケスも参加するんだけど、ファラディが「メキシカンだ!」ってメキシカン・ジョークを飛ばしまくり、すげー失礼なんだけど、悪意がないので笑える。このマウンテンマンvs.ネイティヴ・アメリカン、白人vs.メキシカンが悪態叩きながらだんだん仲良くなっていくところが良い。

アントワン・フークアは大のウェスタン・ファンで、もちろん『荒野の7人』も知っている。自分がウェスタンの監督を任命されるとは思ってなくて、かなりビビったらしい。そうだよね、黒人監督を?って思うよね。

でも、絵はすっごいキレイだし、セットも衣装も良く、アクション・シーンもすばらしい。それになんと言ってもキャストがみんな輝いている!アントン・フークアも役者を生かせる監督なんだろうか。

セブンが黒人、白人、メキシカン、東洋人、ネイティヴ・アメリカンと「多様性」なんだけど、これは「昔のウェスタンは白人ばかりだけど、実際はこの時代、黒人のカウボーイもいたし、色んな人種がいたんだ」と言う「ホワイトウォッシュを正す」方向性らしい。私もこの配役はすごい良いと思う。取って付けたような「白人であるべきの役をマイノリティが演じる」ってんじゃなくて、この人種だからこそ生きるキャラになっていると思う。俳優さんたちも「白人じゃなくてもカッコいい!」って納得させてくれるし。

あと、フークア監督、馬の使い方も上手いんだよ(洒落ではありません)。馬は転んだりして動物虐待じゃないかと思わされることもあるんだけど、でも撮影に使う馬って、転ぶことを怖がらない馬は名馬なんだって。この映画でも転んでる馬が多いのでハラハラしたんだけど、フークア監督って、転んだ馬が立ち上がるところを見せるんだよね!すごい勢いで立ち上がって「カッコいい!」って思わせてくれる。

あと、乗ってる人がいない馬が右往左往してバラバラ逃げていくところとか、ウェスタン観てるといつも「馬はどーしてるんだ?」って思うことが多かったんだけど、この映画では馬がどういう行動を取るかを良く見せてくれていて面白かった。こういう撮り方をする人は動物好きなんだと思う。

まあでも『荒野の7人』も『七人の侍』も名作と呼ばれている映画なので、それと比べられてあんまり評価されてないみたいだけど、私は両方とも観ていないので比較対象がないからすごい面白かった。

観ているとき、「これってアヴェンジャーズみたい」って思ってたら、ある評論家が「『マグニフィセント・セブン』は前半たっぷりスーパーヒーローをアセンブルすることに使い、アヴェンジャーズと変わらない単なるスーパーヒーロー映画。そりゃそうだ、アヴェンジャーズのコミックは『荒野の7人』にインスパイアされたんだもん」と言ってて「やっぱそうなんだ!」って思った。

やっぱねー、スーパーヒーローになるには、死ななきゃダメですよ。死ぬから感動する。死ぬとわかっていても戦う、そんで死んじゃったらもう会えなくなる、そういう思いがなかったら感動しないよ。
GreenT

GreenT