氷雨水葵

ベイビー・ドライバーの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.0
2022年リライト150本目

◆あらすじ
天才的なドライビングテクニックで犯罪組織の逃がし屋をしている青年ベイビー(アンセル・エルゴート)。

完璧なプレイリストが揃っているiPodで驚異的な運転能力を発揮する。

ある日、ベイビーは笑顔が素敵な女性デボラ(リリー・ジェームズ)と出会う。犯罪から足を洗うことを決意するが―――。

◆感想
もう序盤から引き込まれる演出!ベイビーがiPodでジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの『ベルボトムズ』を流し始めた瞬間からもうオシャレな映画の匂い。しかも、曲のわずかな無音の部分にもしっかりハマるアンセル・エルゴートの演技。カーチェイスシーンは『TAXi』っぽさがあり、『ワイルド・スピード』まではいかないものの、かなりの疾走感。ギアチェンジと曲がうまくシンクロして、エドガー・ライト監督のセンスは素晴らしい。赤い車3台並んでいるシーンは「すごっ」と思ってしまった。なんでスバル インプレッサ WRXやねん!って思った(嫌いじゃないけど)。

その後の、ベイビーが街中を歩きながらコーヒーショップに向かうシーンで流れる、ボブ&アールの『Harlem Shuffle』も素敵な演出。カメラはベイビーを追いつつも、街中の至る所に書かれている歌詞を観ることができます。しかも、長回しっていうのがすごい!コインランドリーのシーンもそうだけど、所々カメラワークが独特なのも本作の見どころ。

また、音楽だけじゃなくて脇を固めているキャストも豪華で、ケヴィン・スペイシーやジョン・ハム、リリー・ジェームズ、ジェイミー・フォックスなどなど。個人的にはケヴィン・スペイシー演じるドクが憎めない男で、演技もよかったです。なんだかんだベイビー思いなのが伝わってきます。ジョン・ハムは『トップガン マーヴェリック』のサイクロンのイメージが強すぎて、こういう悪役似合わないって思います(笑)ベイビーと片耳イヤホンでクイーンを聴いているシーンでは良い人に見えますし。まさか、終盤までいるキャラクターだとは思いませんでした。ジェイミー・フォックス演じるバッツじゃないんだ(笑)にしても、アンセル・エルゴート以外みんな濃いおじさんなのは何か意味があるのか。

武器ディーラーとの戦闘シーンで流れるレイ・デイヴィス&ボタン・ダウン・ブラス『Tequila』がよかった!!曲と映像がぴったりで、銃声がちゃんとドラムとシンクロしてるのがすごい。フルオート武器なのに音楽に合わせてバースト銃みたいに撃ってるの細かすぎ!
郵便局強盗のあとの警察から逃げるシーンで流れるフォーカスの『Hocus Pocus』という曲も、長尺シーンにもかかわらず、ベイビーが逃げる&曲のテンポでかなり疾走感のある仕上がりに。銃声やカット割りによって曲とうまくシンクロさせていて、本当に細かい演出!

曲ごとに感想書いてたらキリがないので、とにかく音楽&カット割り&セリフ&演技、すべてのシンクロ具合を観てほしいです!
脚本がしっかりしているので退屈しないけれど、それ以上に作品全体に流れるジャンル豊富な曲に魅了されます。
その時々のプレイリストで驚異的な運転能力を発揮するというキャラクター設定も面白い。

エドガー・ライト節を観たい方はぜひ!

地味にいいなぁと思ったのは、配給会社がSONYだから作中でVitaやSONYのボイスレコーダー出てきたことかな。
氷雨水葵

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