ピッツア橋本

アイリッシュマンのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.5
"I heard you paint the house"
"What if it is true, can you recognize what the color is?"

アイルランド人フランク(ロバートデニーロ)が、トラックの配達屋をスタートに、グレーな仕事をどんどん任せられ、こなしていくうちに自然とのし上がっていくフィルムノワール的、自伝的サクセス?ストーリー。

『タクシードライバー』『キングオブコメディ』『レイジングブル』のマーティンスコセッシ監督×ロバートデニーロの黄金タッグが放つ一代期。

209分の超長尺だけあって、濃密なドラマ、生き様がしっかりと描かれていた。

この登場人物の名前と顔が一致するのが銃声を聞いた後というこの感覚…『仁義なき戦い』だ!

ほら貝とBGMこそ無けれども、襲い方、縄張り争い、そして結局所在がうやむやになってしまう義理人情。
本作でいう"union"を"〇〇組系△△組"って事だと考えると何だか変な親近感が湧いた笑

無音演出というか、デンジャラスの入り方があまりに自然過ぎて、気を抜いて眠ろうとした自分の眼は最低4回は撃ち抜枯れて目覚めた。
授業中に居眠りしてる所を先生に教科書で頭はたかれて飛び起きた高校時代を思い出した笑

何にしても、フランクの男の美学、悲哀には胸を締め付けられた。
その時々に出来るベスト、勇気と行動を持って守るべきものを守ってきたはずなのに理解されない。特に女子供には苦笑

とてもここまでのカッコ良さは自分には無いけれど、この美しき生き様をなぞれるような人生を自分も過ごしたいと思った。

ラストがここまで描くか!と驚かされた。
『レイジングブル』とは正反対に本当の終わりを感じさせるラストカット。

息苦しいほどに熱くて、哀しい男の話でした。
ピッツア橋本

ピッツア橋本