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ノクターナル・アニマルズのKotaのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
“愛しているならば努力しなければいけないし、簡単に投げ出してはいけない。一度失ったら二度と戻らない。”

こんなにもたくさん解釈のできる余白を残している極上のミステリーに久しぶりに出会った。すぐに友達に勧めた(議論したくて)。不眠症の芸術家スーザン(エイミーアダムス)の元に20年前に別れた元旦那のエドワード(ジェイクギレンホール)から小説が届く。タイトルは「ノクターナルアニマルズ」それは彼女に捧げられた物だった。

冒頭から度肝を抜かれる芸術家トムフォード作品。現在(LA)、過去(NY)、そして小説内のフィクションの世界(Texas )の三軸で進むストーリー。なにが素晴らしいかって現在のスーザンを媒体にして、不眠症で過去の記憶が曖昧なノンフィクション世界と、エドワードによって捧げられたあり得ないほどリアルな小説の中のフィクション世界の境界が曖昧になっていくところ。全ての言葉が手掛かりになり、真相を自分達で考える。

ジェイクギレンホールのミステリーは“ドニーダーコ”や“プリズナーズ”に代表されるように素晴らしい物ばかり。エイミーアダムスのシリアスな演技は中々珍しいけど、これまた凄かった。更に現在の旦那役にアーミーハーマー、小説内の警官にマイケルシャノンとキャストが全体的に豪華。

途中で大きく出てくる「Revenge:復讐」という造形。この物語全てが復讐劇だとするならばトムフォードはそんなにも分かりやすい伏線を置かないはず。「あなたの小説はいつも自分の事を書いてばかり」「今回は今までの僕とは違う」この二つのセリフが自分の中では大きな意味を持ち、単なる復讐劇では終わらない。小説のフィクションは他でもなく“スーザン”の頭の中で可視化された話だという事を念頭に置いて観てほしい。