シノミー

ノクターナル・アニマルズのシノミーのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.6
ああ、これは僕の好きなタイプの映画だ。
不安感、不快感、不信感、想像力、肉体的疲弊。神経を研ぎ澄まされる感覚。
芸術とは、文学とはこれほどまでに難解か。
開始から3分にかけて描写される、禍々しく、暴力的で、不快的なオープニング。
贅肉塗れの全裸女性の狂乱。
なんだこの映画はと感じさせる導入。
そこから繰り広げられるスーザンの過去と、20年前に別れた夫から届く小説。
全てが意味ありげに語られる。
何度も現実と空想を行き来しては、今の自分と過去と物語を重ね合わせる。
暗く、重い雰囲気を醸し出す2時間。
あなたは何を思うだろう。
悲劇が起こり、復讐が始まる。
それは何を意味していたのだろうか。
2回も観る必要はない。もう観たいとは思わない。
だけど、観終わってからがこの映画の始まりなのではなかろうか。
元夫エドワードの小説の意図とは?
スーザンの過去と現在の繋がりは?
彼女の今の感性はどうなったか?
ラストシーンの意図は?
オープニングの意味は?
考え出したらきりがない。
家族を滅茶苦茶にされたあの物語と自分との繋がり。
やはり、小説のトニーはスーザンの弱さを表現していたのか。
不穏感漂うこの映画の真相はどこにあるのか。
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