ピッツア橋本

夏至物語のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

夏至物語(1992年製作の映画)
4.4


90年代半ばに岩井俊二が監督脚本した深夜テレビドラマ。20分ちょっとの一話完結なので、構成や質感は限りなくショートフィルム。

<夏至物語>
古いアパートでダラダラしてるシースルー姿の若い女。営業マンの彼をそれなりに心配しながら待ちつつ、何となく世の中を憂いているような、厭世的でオフビートな独白がとうとうと続く。

女の一挙手一投足がだらし無くてエロス。

この感じは90年代の祥伝社系サブカル漫画、特に魚喃キリコとかやまだないとの読後感に似ている。

最後のオチの「あれ、これって夢なの現実なの!?」
みたいな地に足の着いてない謎と曖昧さは結構好き。

<オムレツ>
めちゃくちゃませてて毒舌な小学生の男の子が離婚の失意で引きこもりがちな父親(何と高田純次!)を叱咤激励しながら展開されるクセの強いファミリーコメディ。

キャラクター全員がイキイキしてて面白かった。
ひねりと人情がいい感じにミックスされた会話が展開されるし、
オムレツ=別れた女房の味
って言う小道具がいろんな意味で味わい深くて、とても心地の良い後味のラストが堪能できた。

高田純次が今のヘンテコだけどカッコ良い初老じゃなくて、髪が黒くて冴えないパパを演じてて興味深かった。
何かしらで彼のお芝居をまた見てみたいなあと夢想した。


以上。合計50分足らずのプログラムだけど、充分すぎる密度と鮮度がありました。

やっぱり90年代の時代的なバランスが今でも好きです。
ピッツア橋本

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