Qちゃん

レディ・バードのQちゃんのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.6
良くも悪くも、かなりアメリカの保守的な地域の特性にフォーカスした、特に地方のアメリカンにウケそうな内容。

私、アメリカに2年は住んでたのに、身近なところでこんなに強く国による経済水準の違いを肌感ベースで感じたの初めてかも。。

アメリカ、特にカリフォルニア州でもカトリックが根強い保守的なサクラメントの話ってのはあるが、東京都心部とは比べ物にならないこんな広い一戸建てに住んでて、1人一部屋この広さがあって、養子も取って3人養ってて、共働きで普通に企業勤めと病院の救命士、で、スラム暮らしなの?お父さん不幸せなの?そんで、そこで大きく友達付き合いも人生も変わるんだ?良い大学出てても如何ともし難いくらい人種差別も酷いんだ。。日本と辛さのベクトルが違いすぎる。

そんで、いまの東京に住む私からしたらビックリな、そんな違いからだけで、多感な時期にこんなに不遇な扱いを受けてる主人公が正直気の毒。

貧乏によるストレスを幼い時から子どもに向ける母親。母と娘の愛情の擦れ違いが生々しい。仮にも実母が、こんなに理解が無いものなのか。娘はこんなに頑張ってるのに。不器用すぎる、頑固すぎる、あまりにも不平不満ばかりを言い慣れた、卑屈な母親。

そんな家庭や街に嫌気がさして、あるがままよりも背伸びして、失敗して、本当の自分と羽ばたくことを知る。レディーバードは、飛び立ってから初めて自分のアイデンティティを実感する。

結局、愛情affectionと気にかけてることattentionは同じ、なのかもね。憎くも愛しい、私を形作り縛るサクラメント。神を馬鹿にしていたのに、日曜は教会に行きたくなってしまう私は、やっぱりサクラメントのクリスティン。

なんとなく初めからそんな気がしてたが、初代彼氏くんを待つであろうその街で生まれ育った者独特の辛さも感じられる。

中絶周りは、ちょっと論点的にカトリック擁護に偏りすぎかな。。レイプ被害者などの人権問題や女性の権利から鑑みると、その持って行き方からの間接的な意見提示は納得いかない。

シャラメがイケメンだがクソ男の役。いかにも”初体験の相手の男”。ああ、これが後のストーリーオブマイライフに繋がるキャスティングなんだね。。

ビーニーフェルドスタイン、絶対本作にインスパイアされた監督によるブックスマートでしょ。キャラ被りすぎ!
Qちゃん

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