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ルームのTSのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.9
フリーパス映画第三弾。
いわずもがな2016年アカデミー賞作品賞ノミネート作品。

本日公開なので鑑賞。
今回は珍題をつけてくる邦題も潔く『ルーム』にしています。そして見終わった時、今作の題名が『ルーム』以外はあり得ないということに気づきます。

10年に1本級の感動作と謳われていたので、流石に期待値を越えてくるものではありませんでしたが中々よかったかと思います。
特にこの類の映画は4.5歳程の子供を育てる母親の方が一番感動されるかと思います。

7年前にある男に監禁された女性は、7年間一度も監禁されてる部屋を出ることもなく、ジャックという5歳の子どもと生活をしていた。ある日、5歳になったということで、母親が脱出計画を試みるが、、

これは今までのワンシチュエーションスリラーでもなければ、犯人を倒すというサスペンスものでもありません。
意外にもあっさりと中盤において、このルームから抜け出すことに成功します。

じゃあこの映画は何を描いてるのか?
監禁生活から解かれたその後を描いています。

これが非常に興味深いです。
まず既に見た方は気付かれたでしょうが、ラストを除き、後半の監禁生活から解き放たれた様子より、前半の監禁生活の様子の方が、ウキウキしているのです。

この親子の笑顔が極端に少なくなりました?それは何故か?
この辺りは見ながら感じて欲しいので遠回しに述べますが

監禁生活において、母親がずっと抱いてた望みはもちろんここからの脱出です。明確な目標設定がされてます。
では、それを成し遂げたら次は?

7年というのは途方も無い年月です。7年も同じ部屋にいたら精神が狂うだけでなく、生物学的にもマズイことになるでしょう。

それにどう対応し、乗り越えていくか。その辺りのドラマを本作は最も力強く表しているのかと思います。

そうでなければ、この監禁自体つっこみどころが多々あるので、ただの奇作になってしまいます。

普通の民家の納屋に、近所の人が7年も異変に気付かないのだろうかとか、この監禁してきた男もよく7年も監禁できるなとか、その割に支給すべきものはして優しそうな一面もあるし、、
はっきりいって設定は支離滅裂です。

でもそこはなんとか気にせずに、解放されてからの親子愛、またそれがどう変化していくのか、自分がこの立場になった気持ちでみてみると、特定の方には大きな感動をもたらすと思います。

僕は残念ながら泣くほどまではいかなかったですが、後味は悪くない、結論としては全うなドラマ映画だと感じられました(*^^*)

それにしても今作、四角がやたらと登場します。やはりルームというはじまりの「へや」を意識してるのかと思います。

それから解放されたジャックの語りが所々印象的でした。
特に興味深かったのは、世界が広がることにより、人間みんな急いでくるということ。
空間が広がれば時間も広がる。
それまでジャックにとっては「へや」が「世界」であって、時間の流れが緩やかでしたが、解放されてからその世界はまるで宇宙のビッグバンのように広がりをみせて、時間の流れが加速してしまったと言えるのではと思います。

新しい世界に直面するジャックの姿もまた見所の一つであり、感動するところでしょう。
ちょうど私たちが今「宇宙の外には何がある?」という難題に答えれないように、、そしてもしそれを見つけてしまったら私たちは深く感動するでしょう。

祖父がジャックを直視できないのも心が痛いです。ここは説明が全くされないですが、立場や気持ちを考えると恐らく推論が出るはずです。

以上、設定としてはつっこみどころがありますが、伝えたいのはそこではない。解放されてからのドラマを共感できたら、恐らく傑作として心に残るでしょう(*^_^*)
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