回想シーンでご飯3杯いける

暗殺の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

暗殺(2015年製作の映画)
3.9
20世紀初頭の中国に実在した韓国臨時政府を舞台に、朝鮮を植民地支配していた日本政府要人の暗殺を目論む韓国独立軍の活躍を描いた歴史アクション作品。

当時の歴史に明るくない自分なので、前半部分で何度も脱落しそうになったけど、何度か早戻ししながら何とかストーリーを把握。中盤以降は映画らしいドラマティックな展開を存分に楽しんだ。

まず、歴史的な背景よりもアクション映画として骨格がしっかりしているのが良い。大量の火薬、機関銃による掃討作戦等、史実ではありえないようなシーンが多いが、そこは流石韓国映画だけあって、本気のアクションで手抜きが無い。特にスナイパー役のチョン・ジヒョンがとても格好良く、ウエディング・ドレスを着たままの銃撃戦など見どころが満載だ。

敵と味方が微妙に交錯する人間模様や、双子の設定を活かしたトリック等(ターンAガンダムを思い起こさせた)、映画らしい展開がこれでもかというほど用意されている。

設定上、日本人が敵として描かれるが、それ以上に、日本高官に近づいて甘い汁を吸おうとする朝鮮側の親日派に対する辛辣な描写も多い点に着目して欲しい。単純な反日映画ではなく、独立を阻む勢力は国内にも存在するという視点。後の民主化運動を描いた映画同様、韓国国民の主権について熱く描いた、社会派作品でもあると思う。