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ジョン・F・ドノヴァンの死と生のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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子役ジェイコブ・トレンブレイくんや豪華な脇役陣に囲まれて、肝心の俳優役2人が地味、というか、悪いけどパッとしなかった。特にジョン・F・ドノヴァン演じるキット・ハリントンは、ゼロ年代若手人気俳優の最大公約数として、敢えて掴み所なく特徴薄い印象にしたんだろうか(かもしれない)。また、インタビュウ形式や時系列など構成が回りくどく、アップショットの多い勿体ぶった演出が邪魔に感じる。文通映画の名作『メアリー&マックス』や『チャーリング・クロス街84番地』のように、往復書簡に焦点を絞ってほしいところ…。
けど、文通映画じゃなかったのだ。子供時代のルパートとジョンのパートがリンクしながら平行し、それが現在の地点ではっきり分岐したことが語られる。手紙の文面は重要じゃなく、それぞれに直接する対話がメイン。ならばむしろインタビュウの方に焦点を絞ればよかった気が…。
脚本はそのダイアローグにしろ相手側の反応にしろ野暮ったく、また選曲やドラマティックに雨が降ったりするのもベタすぎる。キャストに応じた見せ場を用意したのがわざとらしくて、キャラクター設定や後半の展開はかなり雑だ。しかも元子役のママがナタリー・ポートマンってのは絶妙だけど、母と息子の葛藤はドランまたそれか…と。
怖くて言えない、でも聞いてほしいという声は、手紙がそうであるように送り手と受け手で自己完結してる。確かにファン心は見返りを求めない自己完結行為ではあるけれど。
それでも、非寛容な世界で鬱屈した2人の明暗は、どちらも優しい希望を感じさせて終わる(『マイ・プライベート・アイダホ』じゃん!)。それこそが手紙が海を渡って流れた時間。確かに何かが届いた、そしてもっと届けたいという声なんだと思う。
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