ひでG

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のひでGのレビュー・感想・評価

4.1
僕が観たのは日曜1番の回だったので、お客さんがほどんど居なくて、きちんと距離をとって鑑賞しました。😃

この作品が当たらなかったら、嫌だな、、

非常にクオリティの高い作品!
良い作品でも一度観て満足するものもあるけど、
これは、もう一度観て、細部を確認したくなる
とても、とても素晴らしい作品です!


物語は、ある若手俳優が自分の体験をルポライターに語るところが出発点になり、

少年だった彼、ルバートと当時売り出し中の人気俳優ジョン・F・ドノヴァンとの5年に渡る文通について話が進んでいく。

学校ではいじめられて、母親とは感情的にぶつかってしまう繊細な少年ルバート

彼の唯一の救いは、テレビ俳優のジョン・F・ドノヴァンの番組を観ることだった。

今まさにブレイク中のドノヴァンだが、
彼もまたその華やかな世界とは裏腹に、
心に闇を抱える孤独な一青年なのだ。

序盤、二人の境遇が交互に語られているのだが、正直、盛り上がりには欠ける。
「まあ、分かるけど、、」と退屈にさえ思える展開。

すると、物語の進行役、青年ルバートの話を聴いていた黒人女性ジャーナリストが
観客の気持ちを代弁してくれる。

「まあ、苦しみは分かるけど、、私にはもっと書かなくちゃいけない世界の問題がたくさんあるのよ。」と、映画の前半の語りを否定してくる。

でも、そこからが見事過ぎる!
ルバートとドノヴァンの壮絶な物語が怒涛の如く展開していく。

僕は後半だけで、4度涙しました。
苦しや悲しみの涙、
分かり合えた涙
そして、なんとも切ない涙

悲劇だけれど、一色ではありません。
いろんな、「もし、あの時に、、」も交錯し、
思い通りにいかない、
想像もつかない人生の難しさを観客は
改めて知ることになります。

演者陣が凄いのもこの作品の魅力

ドノヴァンの光と影を、見事に演じ切ったキット・ハリントン。

彼は輝きの中でも陰を漂わせる。

ルバートの母親役のナタリー・ポートマン
世界で1番好きな女優さん!

自分のかつての夢や挫折を背負っている。
もう、画面に映っているだけで素晴らしい

ドノヴァンの母親スーザン・サランドン
このキャリアなら当然でしょうが、
この母親もまた混濁の中にいる。
見事な演技だ!

キャッシー・ベイツのマネジャーも限られた出番の中、この作品をさらに厚みあるものにしている。

と、そうそうたるオスカー女優が揃う中、
1番、心に残ったのが、
やはり、ジェイコブ・トレンブレイ!

彼の演じる喜怒哀楽を全部観ていたい!
全部受け止めたい!
天才子役じゃない!
天才俳優だ!

それにしても、彼の出演作の驚くべきクオリティの高さ!
「ルーム」「ワンダー君は太陽」で本作!
ジェイコブ神話になってきた!

どうぞ、先輩の天才子役のような道を歩まないで欲しい。
そう、あなたの母を演じた役者のように、
ずっと輝きつづけていて欲しい。

とっても素敵な作品をありがとう!
ひでG

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