ミーハー女子大生

メッセージのミーハー女子大生のネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

完全なネタバレです。まず映画を見てほしい。自分で謎解きして「あっそうか!」を味わってほしいです。でも、どうしてもモヤモヤして、どう考えても分からない人だけ読んでほしいです。間違っていることを恐れずにレビューを書いてみたいと思います。
︎
︎まず「回想シーン」で出てくる女の子。これは、未来のことで、実際には映画の後で起こることです。つい「回想シーン」と書いてしまいますが、あえて言うなら「未来シーン」でしょうか。主人公の女性が時折見るのは、全て「未来シーン」。それが、エイリアンに選ばれた理由。
エイリアンも「未来シーン」を見ることができ、「3000年後に自分たちが人間に救われること」を「未来シーン」で見ている。つまり、「人類が3000年後に、存在している。」ことがエイリアンにとって、重要なこと。ところが、人類はと言うと、目先のことに囚われ3000年どころか、100年後さえ危うい。核戦争や大陸間弾道ミサイルなど発射されれば「明日という日があるかどうかさえ分からない。」という危うさ。それを見るに見かねてエイリアンはやってきた。
エイリアンは私たちに「武器」とは「銃で戦うこと」ではなく「言語による対話」だと教えてくれる。
また、「時間」という概念については、私自身まだ分からないことはあります。少なくとも、過去の恨みや憎しみ、未来への恐怖などに囚われない態度をエイリアンは勧めてくれているように思いました。

そのような態度で人生に臨めばーー

世界的には「シャン将軍のような人も態度を軟化させ、自国だけに囚われず世界が仲良く過ごせる」道を探そうとする。

家庭的には「例え可愛い我が子が不治の病いにかかり幼くして死ぬことがわかっていても、夫にそのことを自暴自棄になって告げ、離婚して妻だけで子供を天国へ送る」のではなく「不治の病いにかかる子供との人生を夫婦二人で受け入れ、最後の瞬間になっても夫婦で子供を送る」という人生を選ぶことができる。ということだと思いました。

映画の一番初めのシーンは「黒い天井からすっと降りてきて部屋が映るシーン。」その部屋の左隅には、天体望遠鏡らしき影があります。その後お母さんから主人公の女性を心配する電話があります。あれは、「現在のシーン」ではないと思います。
天体望遠鏡は「僕は昔から宇宙に興味を持っていた」という夫のもの。
つまりあのシーンは、「結婚後、離婚し、子供も無くした主人公に母が心配して電話を掛ける」という「未来シーン」。

その後、女性はエイリアンと会い、「未来は変えることはできない(子供は不治の病いで亡くなる)が、選ぶことはできる(夫がなぜ私に腹を立てたか。その原因が分かり、夫と離婚しない道がある)」ことを知る。

だから、映画の最後のシーンは、最初と同じく「黒い天井からすっと降りてきて部屋が映るシーン。」です。左端には「天体望遠鏡」。映画の始まりと全く同じ未来シーンです。でもそこには、オープニングであった「母からの心配の電話」はかかってきません。その代わりワインを飲み、窓の外を見ると夫の姿が。つまり、「子供が死ぬという未来は変えることができないが、夫婦は離婚しないで子供の死を受け止めるという選択肢を選ぶことができた」という未来シーンだったと思います。

そのような人間の姿勢、態度、考え方が今世界的な規模で必要だと訴えている映画だと思いました。

SFではありますが、かなり哲学的な映画だと思います。
私たちは未来を女性の主人公のように詳細に見通すことはできません。ただ一つはっきり分かっている未来があります。それは、あの子供のように「いつか死ぬ」ということです。その未来は「変えること」はできません。でも「どのような人生を選択するか」ということは「常に選ぶことができる」。あの特殊能力を持った女性の主人公の特別な話ではなく、多分普通の私たちに生き方を問いかけるような「メッセージ」ではなかったか・・・

映画が分かりにくいのは、わざと。
古人曰く「イージーカムイージーゴー」
「悪銭身に付かず」。
女性が四苦八苦してエイリアンとの対話を探ったように私たちも映画の謎を解いてほしい。監督はそう願ったような気がします
などと思うのです。
長々と最後までレビューに付き合っていただきありがとうございました。

ストーリー 4
演出 4
音楽 4
印象 4
独創性 5
関心度 5
総合 4.3