サマセット7

ゴジラvsコングのサマセット7のレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
3.6
モンスターバース第4作。
監督は「サプライズ」「DEATH NOTE」のアダム・ウィンガード。
主演はTVドラマ「トゥルーブラッド」「ビッグリトルライズ」などのアレクサンダー・スカルスガルド。

3年ぶりにゴジラ襲撃。
被災地はアメリカの企業エイペックスの工場であった。
脅威を感じた人類は、対抗策として地球の地下に存在が確認された巨大空間に眠るエネルギーの利用を画策。
地下空間の探索を依頼されたネイサン博士(スカルスガルド)は、地下への移動に際して、巨大生物対策組織モナークの監視下にあるコングを利用することを提案する。
しかし、古来からの宿敵同士であったコングとゴジラは、コングの移動を契機に再び戦闘状態に突入し…。

コロナ禍で映画館の営業が危ぶまれる中、本国で4億ドルを超えて売り上げた作品。
モンスターバースの作品の中では、比較的好意的に評価されており、中でも一般層の支持が厚いようである。
日本ではコロナ禍で公開延期が続き、ようやく昨日公開開始したばかり。

ストーリーは、タイトルの通り、ゴジラとコングが闘う、というシンプルなものである。
主役怪獣同士の一大バトルを観に行った客は、大体期待通りのものが観られる。

今作の見どころは、CGを駆使した大怪獣同士のど迫力バトル、ところどころ見られる過去作オマージュ、出し惜しみしないテンポの良さにあろうか。

前作のKOM同様、かなり割り切った作品であり、話の整合性やリアリティといった細かい点はぶん投げられている。
製作側が見せたいものは、怪獣バトルであり、観客側の要望と完全に一致している。
それ以外はどうでもいいのだ。
コングがパンチ一閃ボカーッ!!!
対するゴジラも背びれを光らせて放射能光線をドワーッ!!!
人間どもは巨大怪獣同士の戦いの前にどうすることもできない!!!
最高!!!!!
以上。
他に何が必要だと言うのか?

むしろ今作では、その徹底ぶりゆえに、脚本やねじ曲がる物理法則に突っ込みを入れながら観て、あとでネタにしてひと笑いすることで、より楽しむことすらできる。
これぞ娯楽作品!!
日本版の過去作ならともかく、ハリウッドでこれを通すとか、さすが製作陣はよく分かっている。

過去作へのオマージュも余念がない。
終盤の大ネタやコングといえばこれでしょ的なシチュエーションはもちろんのこと、個人的には、スーパーX的な飛行車両の登場に大喜びであった。

2時間を切り、胃もたれする前にサクッと終わる上映時間も好ましい。

日本から出演の小栗旬は、なかなか印象的な役どころを任されている。
初登場シーンの一見してただ者でない感じや、渡辺謙直伝のゴジラの発音など、個人的には大満足であった。

日本のゴジラファン的には、今作の落とし所がどうなるかは、気になるところ。
万一ゴジラがコングより弱いとか言われると、はーー?????ふっざけんなよ???となるところだが…。
こればかりはご自分の目で確かめていただきたい。

今作のテーマ?
ゴジラとコング、日米を代表する怪獣だが、同じサイズにして戦わせてみたら、どちらが強いのか???である。
人間も何かしていた気がするが、テーマ性とか感じさせないあたり、潔さが光る。
一部、アメリカで流行りの陰謀論をネタにしたキャラクターがおり、一定の社会風刺性がある。

モンスターバースの中でも娯楽性に振り切った楽しい作品。
当初の予定では、シリーズ最終章の予定だったらしく、現に作中続編を思わせる描写は見当たらなかった。
しかし、コロナ禍以降で最高の売上を出した結果、すでに製作サイドは続編に向けて動き出したとの報もある。
もし続編が出たら反射的に観てしまうことだろう。