てる

下衆の愛のてるのレビュー・感想・評価

下衆の愛(2015年製作の映画)
2.5
うん。なんというか、グロテスクな作品だった。
大して監督としての経験もないおじさんが大物ぶって女を食い漁る。そんなおじさんが新たに狙ってる女優の卵がいる。次の作品の主演にしてやると無理矢理関係を迫るがなびかない。彼女はただお芝居がしたいだけ、気になっている青年もいる。そんな彼女が有名な監督とやっているシーンはあまりにもショッキングだった。10歳若いときに観たならトラウマになっていること間違いない。吐きそうになった。
純粋だった彼女が下衆に落ちた瞬間だった。女優になるためとかそういう打算ではなく、自暴自棄になっていたというか、自傷行為だったんだろう。その後も有名女優になるという言い訳で、身を汚し続け、あのときの行為を正当化させようとしている。しかし、後悔や引け目はある。以前の普通の少女のように、好きな人に甘えたいが、そうできないのはそういうことだろう。自分の心情に背を向け、心に泥を塗っていくのは辛いことだろう。自傷行為は割りきれない。だから割りきって、体売るのを辞めるか女優を辞めちゃえばいいのに。でも、それを割りきるのには、心の傷がまだ生々しいし、割りきるには彼女はまだ若すぎる。
権力で体を求める男と、その権力を授かろうと体を売る女。バカだなぁと私は思う。男も女も。
そんな打算的な関係が上手くいくわけないのに。ただ、実力と才能があれば売れるってわけじゃないと思う。とはいえ、そういう人が地道に頑張っていれば、どこから芽は出てきそうなもんなんじゃないかなぁ。そんなことより、そういう後ろめたいことしてると、予期しないとこで足元を掬われる。仮にデビューしたところで、たかが知れてる。それに人の恨みを買う悪徳男は必ず自滅する。そんな男に未来を委ねてはならない。近道はないのだ。自分を信じて諦めずに続けていくしかないのである。
しかし、そういう人たちってまだいるんだろうなぁ。業界ってそういうのばっかじゃないと思うけど、どうなんだろうね。内容よりもそんなことばっかり考えてしまった。
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