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バジュランギおじさんと、小さな迷子のtomtomcafeのレビュー・感想・評価

3.5
言葉を話せないパキスタンの少女シャヒーダーがふとしたきっかけでインドで迷子になってしまい、正直者のインドの青年パワンがシャヒーダーをパキスタンまで連れて帰るまでのお話です。

連れて帰ると言っても、インドからパキスタンまでのビザもなければパスポートもありません。はたしてどうやって連れて帰るのでしょうか…。

この映画は、事前にインドとパキスタンの歴史を知っておくと理解が深まるかもしれません。
インドとパキスタンの対立の歴史は、イギリスの植民地時代から始まります。
もともとインドとパキスタンはイギリス領として一つだったのですが、もともとの生活様式が異なっているのに、西洋化していくヒンドゥー教徒に対して、伝統的な生活を重んじるイスラム教徒とで、対立が決定的になります。
インドではほとんどがヒンドゥー教徒ですから、数が少ないイスラム教徒は生きづらいのです。
そんな中、第二次世界大戦が終わり、イギリスからの独立を機にイスラム教とヒンドゥー教の対立からヒンドゥー教のインドと、イスラム教のパキスタンとで2つの国に分かれます。
2つの国に分かれたあともお互いの国への強制的な流入や、国境にあるカシミールがどちらに属するかで何度も紛争が起こっています。
ちなみに、教科書で習うマハトマ・ガンディーは、インドとパキスタンの統一を目指す中で狂信的なヒンドゥー教徒に暗殺されています。

パワンがお世話になる家の父親がパキスタンに対してよくない感情を抱いていたり、パキスタンの警察が執拗にインドのスパイとしてパワン追いかけたりするのは、そんな対立の歴史があるからなんですね。
だからこそ、まっすぐな気持ちでビザもパスポートもなしにシャヒーダーをパキスタンに連れていこうとするパワンの姿に感動しますし、行く先々で優しくしてくれる人のあたたかさに心を打たれるのです。

あと、パワンの恋人役で出演していた女優が「きっと、うまくいく」でヒロインを演じていた女優だと気づいたのは、鑑賞後、このレビューを書こうと公式HPを見ていたときでした。
「きっと、うまくいく」ではメガネをかけていたので全然気づきませんでした…。
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