シノミー

バジュランギおじさんと、小さな迷子のシノミーのレビュー・感想・評価

4.5
愛という言葉がこれほど人を純粋に、無垢にしてくれる映画を僕は知らない。
ストーリーは至ってシンプルだ。
迷子の少女を国境を越えて家族の元へ送り届けるという絵本でも作れそうな話である。
しかし、絵本では伝えられない全てがこの映画にはあった。
それは身に染みて感じさせられるバジュランギの優しさであったり、それを表現するためのミュージカルであったり、シャヒーダの無邪気な笑顔であったりだ。

この映画には優しさという愛がたくさん詰まっている。
言葉を発することができないシャヒーダを汲み取ろうとするみんなの優しさ。
宗教の違うシャヒーダの行いをフォローしながら見守り、ときに正してあげる優しさ。
あらゆる困難が立ちはだかっても決して諦めずに家族の元へ届けるために尽くす優しさ。
年齢、宗教、言語など、様々な違いやハンディキャップがあっても、バジュランギは全く最後までぶれなかった。
2時間半もの間に沢山のことが起こった。
彼の行動は他の人を困らせ、迷惑をかけるかもしれない。
でも、結果的には彼の行動が全員を幸せにした。
彼の行動がこの世界の人たちに愛を感じさせた。
それほどまでに飾らない、真心が詰まった作品だった。
他の人のレビューで「涙が止まらない」「バスタオルが要る」など感涙の言葉がいっぱいだった。
それがどんな意味か、わかった気がした。
少しだけ世界が優しくなるような温かい映画だった。
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