その額は異世界への入口。
両の眼の中心点、鼻筋から上へと伸びる線の何処かにその這入口はある。
集中線が目線を誘うように、抱えた激痛から逃れんと浮遊する魂は向かう先を知らず吸い込まれ、
叫ばず押さず、静かに喚び醒ますはその奥のくぐもる涅槃への一足。
現し身らはただ今ある場が永らうようにと、愛の名の下に殉ずることを願い頼る。
従う犬らはこの場を変えんと諍い、現からの一時の解脱を願う。
常に願いは因果となって手元へ還る。
数字が表す様に真理はただ一つだけ。
何処を初端として何処で結んだか。
入口も出口も泥沼に沈み、それでも尚、糸は連なり無意識の中の微かな意図を囃す。
失われたパズルのピースは戻らない。
存在せぬやも知れぬ奥深き階層を肉も剥き出しのままに走り出す犬の尾を標的に、いざや魔法よ其方の身体を巡り、その実を掌の上へ。