KnightsofOdessa

カイロ中央駅のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

カイロ中央駅(1958年製作の映画)
4.5
[エジプト発サイコ系ノワール] 90点

10年前に監督シャヒンが亡くなった追悼上映としてTIFFで上映されたのだが、流石に10年前は小学生なので知る由もない。そんな圧倒的入手困難な本作品をあっさりと入手出来たので見ることにした。実は一回見たんだけど、いつもの字幕斜め読みだと申し訳ないと思うほど傑作だったので二度目を見た。

主演は目つきがエロい監督本人で足の悪い純朴な男Qinawiを熱演している。目線の先には暑苦しいカイロの街を行き交う魅力的な女たちが少しでも涼もうとずらした胸元とスカートから覗くスラリとした足があり、天真爛漫なファムファタールとして大きな谷間を惜しげもなく晒すヒロインのHanumaがいる。まぁあんなにグラビアの切り抜きを部屋に貼っているんだから純朴というか拗らせというかなんというか。この男がちょっと優しくされただけで舞い上がって勘違いするのだが、作中常軌を逸したHanumaへの執着を見せ続けるのには同情を通り越して驚嘆した。嫉妬から人違い殺人未遂まで犯すその狂気、最高じゃないか。

こういう映画って機会に恵まれたもん勝ちだよな。後発になればなるほど難しくなるのは大変だよね。現に今から見始めようと思ったら「ルル」「盗馬賊」なんかの企画上映は逃してた訳だし。
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