カイロ中央駅の作品情報・感想・評価

カイロ中央駅1958年製作の映画)

Bab el hadid

製作国:

上映時間:77分

4.2

「カイロ中央駅」に投稿された感想・評価

エジプトを代表する映画監督ユーセフ・シャヒーンの出世作となった犯罪映画だが、ネオレアリスモ的な趣が感じられたのも実に面白い作品だった

50年代当時のカイロは中々栄えてたけど格差も激しかったんだなという具合にエジプトの都会の様子がよくわかる作りは資料的な意味でも興味深かったし、貧しいながらも逞しく生きる人々の躍動というのも十二分に感じられた

しかしそれ以上に文字通り愛に狂って犯罪行為に手を染める男を監督自身が演じているのだけど、それが熱演極まりなくチャップリンの放浪者の如き憐れみすら感じられる様は見事と言わざるを得ず、役者ユーセフ・シャヒーンの底力を見た

ところでこの映画、駅が舞台になってるため列車に関する危険なシーンが多々あるのだけど、特に序盤にあった子供が列車に轢かれそうになるシーンとかは一歩間違えたら命に関わる大惨事になり兼ねず、蜘蛛の巣城における黒澤明やフィッツカラルドのヘルツォークに通じる監督の狂気性というものが地味ながら覚えて、見ているこっちが空寒くなった
TIFFにて。

正に駅の構内を舞台にしたサイコサスペンスなエジプト版フィルム・ノワール。フツーに佳作。

キチガイ役をワザワザ監督自ら演じる心意気が良い。

この時代のシャヒーンほもっと見たいと思わせる。
ヘンド・ロストムという女優さんがすこぶる素晴らしい。ハングリー精神旺盛で男を手玉にとる悪女タイプだが、あっけらかんとしていて、天真爛漫。監督のユーセフ・シャヒーン自身が演じる主人公の不自由な足。その彼が見つめるロストムの足。画面に力が漲っている。フィルムノワールの香りをまとった傑作。