さわだにわか

無気力症シンドロームのさわだにわかのレビュー・感想・評価

無気力症シンドローム(1989年製作の映画)
4.5
『フルスタリョフ、車を!』を観たスコセッシは「なんだかわからんがすごい!」と評したというが、東(ロシア)に『フルスタリョフ、車を!』あれば西(ウクライナ)に『無気力症シンドローム』あり、なにがなんだかサッパリわからないがともかくすごい映画だ。ソ連崩壊を間近に控えた1989年、すでに人民の精神はソ連に先駆けて崩壊し社会は分裂、誰もがガーガーと狂ったように怒鳴り笑い泣き叫び会話はぜんぜん成立せず、奇態、痴態、醜態そして最後は死体を晒す!投棄されたグロテスクな人形、殺処分される犬たちに仮託されたのはソ連人民の命運か。不快な効果音の強調された耳障りなサウンドトラックも素晴らしい、まるでこの世の終わりのような一大パノラマだ。
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