Yukiko

火の山のマリアのYukikoのレビュー・感想・評価

火の山のマリア(2015年製作の映画)
4.3
2017年6月28日
『火の山のマリア』  2015年制作
監督、ハイロ・ブスタマンテ。

マヤの国のことは少しばかり歴史や映画で知っていたと
しても、マヤの国が支配した地域のその後は知らない。
グアテマラと言うと、コーヒーしか知らない。
そんな知識の中で、この映画を観た。

中央アメリカのグアテマラ。
パカヤ火山の麓でカクチケル語を話す17歳のマヤ人の娘
マリア(マリア・メルセデス・コロイ)の物語。
借地で農業をする父親のマヌエル、母親のフアナ(マリア・
テロン)と一緒に暮らしているが、一家は貧しかった。
作物が収穫できないと土地を手放さざるを得ない境遇だった。

土地所有者のイグナシオは前妻を亡くし、3人の子どもを
男手ひとつで育てていた。
マリアの両親はイグナシオとマリアの婚約を勝手に決める。
マリアは幼馴染のペペがアメリカに一人で旅立った後に、
そのペペの子供を妊娠していたことを悟る。
母の薦めで流産をしようとするが、後、母が折れ、
父と共に生むことを承諾し、イグナシオにも話す。

が、蛇被害の畑を何とかしようとマリアが畑に行き、蛇に
噛まれ病院に緊急入院をし、そこで…!

先住民族の置かれている状況を描くことがこの映画の核で、
マリアが受けている差別、ひとつはマヤ人であること
からくる人種差別、もうひとつは女性であること、
そして貧困という苦しみ。
更に、言語差別をテーマとしており、1990年代のグアテマラ
で起こっていた、新生児や子どもの違法売買にも焦点を当て
ているとのことである。

メスティーソと言って、白人と現地のインディオとの混血を
さす言葉だが、グアテマラの大都市では多い。
が、昔からのマヤ人が暮らす地域は貧しく、グアテマラでも
最下層に置かれ人種差別されている。

知れば知るほど衝撃的。
発展途上国って、富裕層は高等教育を受けているけれど、
その国の多くの下層階級ってろくに教育を受けずにいたり
するよね。
学校もあるかなしの状況だったり。
偉い人が言うことは正しいと信じ、鵜呑みにするしかなくて、
一人一人が自分で正しいことの判断が分からず、その
考える元となる教育が施されてないから。

何よりも、まずは母国で通じる言葉で、読み書きを
学校で教わる必要があるね。スペイン語かしら。
マリアと両親が使う言葉は、病院では通じなかった。
同じグアテマラの国民なのに…
内容も分からないまま(字が読めないので)
言われるままに拇印を押すマリア。
それが自分の子供を売る内容とも知らずに。

この映画でも、病院の女医さんが黒いマニキュアを
していた。
Yukiko

Yukiko