Ricola

泥棒野郎のRicolaのレビュー・感想・評価

泥棒野郎(1969年製作の映画)
4.3
ウディ・アレンの大真面目にくだらないことを追求する姿勢が大好き。

彼の独特な世界観がやはりツボで、この映画も最高に面白かった!

泥棒野郎の主人公の人生を描いたもので、やはりウディ・アレン自身を投影している。
初監督作品ということで、彼の原点とも言えそうだ。

タイトルコールのかっこよさで余計に惹き込まれた。

ドキュメンタリー調なのだが、爆笑コメディにやってのけてしまうのはさすが。

マヌケで銃やナイフを扱うことさえままならない主人公のしどろもどろ具合とクズ具合がおかしくて仕方ない。

両親が変装して取材に応じる様子が度々出てくるのだが、そこに関しても真面目にふざけている。

ワクチンの副作用でユダヤ人のラビになっちゃうという皮肉要素も忘れない。

特に笑ったのが、強盗を穏便にしようとメモを渡したのに、強盗であること以前にスペルをただただ指摘されるというシーン。
ツッコミ不在のシュールな状況がおかしくて笑える。

何度も脱獄するのは、彼が現実逃避しているのを表しているように感じた。
結局現実からは逃れられないのに。
それをウディ・アレンは知っているからこそ、映画の中でやるのだろう。

アナーキーな笑いが満載で、彼はやはりマルクス兄弟が大好きなことがよくわかる。
Ricola

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