"雰囲気は泥臭い、撮り方は今っぽい"
凱里という大河が流れるど田舎で、近年までムショに入ってた医者が、弟の息子を引き取るべく緩やかに奔走するロードムービー的な中国映画。
土着性溢れる村落の雰囲気の中で、ベランダにミラーボール、部屋内にキラキラ装飾などの独特な美術が点在する。
ストーリーは何だかユルユル。ロードムービーといえばヴィムヴェンダースだけど、彼の作品群と比較すると、中国というお国柄か、何だか全体的に淡い。
がしかし、一番のポイントは長回しカットにドローンを駆使してヘンテコな撮影空間を演出している事だ。
「手ブレにしては高低差が自由だし、フォロー早いなあ」とか思っているうちに、カメラマンではあり得ない動き、つまりドローンによる撮影が多用されている事に気づく。
この泥臭い話にこのスタイルを持ってくるギャップは挑戦的で興味深い。
が、無駄に長くダレて感じるところもあり、フィクションじゃなくてドキュメンタリー風な自然の切り取り方になってしまう為、いまいちドラマとしての抑揚を感じ難かった。
それでもこのトライは凄いと思う。
ストーリーよりも、背景の混雑感、時代錯誤な寂しさを感じる所が本作の嗜み方かなと。
モノローグで興味深いポエムもちらほらあった。
なので感動ドラマを求めると本作は自分のようにたくさん居眠りする事請け合いです苦笑
全部通して、映画美が点在、散文的だなあと感じたドリーミーな一本でした。