イチロヲ

アメリカン・ゴシックのイチロヲのレビュー・感想・評価

アメリカン・ゴシック(1986年製作の映画)
4.0
セスナ機の故障により孤島へと辿り着いた男女グループが、古い価値観に縛られている奇妙な家族と接触する。サイコパス一家に襲われる恐怖を描いている、スラッシャー・ホラー。日本国内ではVHSリリースのみだが、オンラインレンタル可能。

現代の若者の価値観にサタニズムを見いだしたファミリーが、「神の裁きを!」と言わんばかりにサディズムを表出。凡百の不条理スラッシャー劇だが、"人をイラつかせる若者の生態"が落とし込まれているため、ファミリー側にも肩入れの余地がある。

"精神的に時が止まったままの、中年と老人しかいない家族が存在している"というトンデモ設定が非常に面白く、無邪気な猟奇殺戮ショーに一喜一憂することができる。とりわけ、ブランコを利用した悪戯は、子供時代のトラウマが刺激させられる。

自身の赤子を過失で死なせた女性が、実質的なヒロインの立ち位置。同化の方向へと進んでいくドラマ展開と家族の長女(中年キッズ)との交流劇にインパクトがあり、クライマックスの「キチガイには、キチガイで対抗!」にハイセンスが感じられる。
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