くぅー

劔岳 点の記のくぅーのレビュー・感想・評価

劔岳 点の記(2008年製作の映画)
4.4
my映画館2009#50> 山岳小説が好きだった上に、このキャスティングで早くから期待してましたが、いやいや、流石でしたね・・・久しぶりに活動屋の魂と執念が込めらた作品を見させて頂きました。
昨今のCG駆使の超大作達とは明らかに別格の、こだわりの邦画大作を見た気がして、思わず唸ってしまいましたね。

まぁ、この作品にケチを付けるなら、昭和の名作『八甲田山』等を踏襲した様な展開やテーマの古臭さってことになるんでしょうが・・・そんなんで斬って落とせるレベルではないかと。
とにもかくにも圧巻なのは、日本を代表する大自然をダイナミックに撮らえた映像・・・正に厳しさと美しさが同居する様を、CG一切無しの苦行のロケのみで、リアルを追求して撮り切っていて、それをスクリーンに釘付けになって堪能できたのは至福でしたね。

さらには、その大自然と対峙した俳優陣では、まずは浅野忠信が秘めた闘志の熱演を披露。
香川照之の対照的な山男むき出しの激演もハマり過ぎ。
また、成長を見せる松田龍平の好演を始めとして、仲村トオルや役所広司に夏八木勲や石橋蓮司らの、存在感あるのベテラン勢のさりげない助演ぶりに・・・モロ師岡に小市慢太郎や新井浩文らの個性派なサポートもいい。
さらには、女優陣は出番は少ないながらも、宮崎あおいや鈴木砂羽らの、温かみのある演技も印象的。

そんな訳で、69歳でついに監督となった木村大作・・・と言っても、巨匠監督らの下で、長年に渡り撮影監督として活躍して来た超ベテランな訳ですが、本作ではそんな映画人生を賭けた凄みも伝わり、恐るべし新人監督の登場にニンマリです。
くぅー

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