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ジュラシック・ワールド 炎の王国のマーチのレビュー・感想・評価

3.4
*多少ネタバレあるので、お気を付けください。

皆さん気付きましたか?
クレジットにデルトロの名前があったのを!


【🦖レビュー🦕】

《アクションからホラーへの回帰》

「ジュラシック・ワールド」3部作の2作目にして、今のところ(世間や批評家の作品評的には)秀作しか生み出していないとされるフアン・アントニオ・バヨナ監督にバトンが渡った今作ですが、初期のジュラシックシリーズを思わせる、アクション映画からホラー映画への回帰を果たした作品でした。
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私は前作『ジュラシック・ワールド』の時点で全くハマっていなかったので、今作も非常に不安ではあったのですが、『永遠のこどもたち』や『怪物はささやく』と個人的にそこまで高いスコアは出していないけど世界観は好みなバヨナ監督にバトンが渡ったので、何か変革をもたらしてくれるのではないかと期待していました。そして案の定、デルトロ仕込みのゴシックホラーを後半矢継ぎ早に繰り出すことで、私が本来このシリーズで興奮したポイントである恐怖描写に新風を巻き起こし、新たな扉を開いてくれました。
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まずはやっぱり不穏なオープニングですよね…初期作品を思わせるライティングと撮り方には懐かしさを感じましたし、後半の洋館を舞台としたホラー描写はバヨナ監督の得意とするところであり、存分に独自性を爆発させ、ジュラシックシリーズ自体を己の土壌に引き込んでいる感じがしましたね。特に布団の中で怯えている子どものところに恐竜がゆっくりと忍び寄るところなんて“バヨナらしさ”を見せ付けるために用意されたシチュエーションにしか思えませんでしたもん!笑 あれは監督がこさえたシーンなのか、トレボロウがバヨナの過去作を観て当て書きしたのか知りませんが、バヨナらしさをビシビシ感じる場面ではありました。
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また、バヨナはやっぱり洋館の使い方が上手い!! 月明かりに照らされながら空に向けて恐竜が鳴き声を響かせるところや、恐竜が狭苦しい廊下を疾走しながら迫ってくるところなど、ホラー好きには堪らない描写が随所に伺えて最高でした!
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人間の業というか強欲さが齎す悲劇みたいなものを一貫して描き続けているシリーズではありますが、今作はシリーズでも随一と言っていいほどそのテーマについて深く分け入った内容になっていました。眠らせたまま放置・殺人など、クズな奴が徹底してクズなままですし、改心させる余地なく粛清されるというちょっとしたリベンジムービーのようになっているのがスカッと出来て面白くもありました。さらに、人間が生み出したクローンたち、それを人間の都合で殺してしまうのか否か、クローンであっても生命は宿っている訳で、神のみが成せる命の選別を、力を振りかざした人間が代行してしまってよいものなのか…傲慢でしかない人間の人間による人間のための行いを嫌悪すると共に、学ぶことのない堂々巡りの人間の愚直さについて深く考えさせられました。『猿の惑星』シリーズで描かれていたように、滅ぶべきはもはや人間の方なのではないかと…
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それにしても、やっぱり自分はコリン・トレボロウと合わないなー! 前作は彼の作品から滲み出てくる倫理観とかギャグとか無駄なセリフに大嫌悪したのですが、今作はバヨナが監督を手掛けているということもあってか多少その辺りは軽減されていたものの、やっぱりギャグは笑えないし、無駄に感じるセリフも多少はあったように感じました。これは演出の問題ではなく、脚本の問題だと思います…そうなるとやっぱりトレボロウとは合わないという解釈に繋がっていってしまう。笑

恐竜たちに大して思い入れのない私ではありますが、さすがに2作も積み上げられるとブルーの活躍には「よしっ!」と拳を握りしめて興奮していましたし、モササウルスの無双ぶりには相変わらず面食らいましたし、ティラノサウルス🦖の出てくるだけで目が離せなくなるアイドルっぽさには魅力されました。あと頭の固いアイツ(名前わかんない 笑)の健闘する姿が可愛くて、今作の中では最も好きな恐竜になりました!猪突猛進で意外と従順なところとか良いですよね!! か、飼いたい! 笑

あと噴火のシーン🌋がめっちゃ好きで、恐竜大集合の楽しさと避けられない自然災害のダブルパンチが圧巻でしたし、恐竜を支配しようとする人間と自然に支配される人間の共存関係に唸らされました。ポッド脱出のシークエンスを長回しで見せたのも緊迫感があって良かったと思います。
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このように結構好きなシーンの多い作品ではあったのですが、なぜそこまでスコアが高くないのかと言うと、全てはラストの展開にゲンナリしてしまったからなんです!
この作品を単体で成り立たせる上で、あのラストがその機能を発揮できていたかといえばノーですし、完全に投げやりな中で「ようこそ ジュラシック・ワールドへ」とか言われても、「やかましいわい!」ってなってしまいます。笑 しかもその展開へのきっかけを子役の女の子に任せたというのが罪深い…子どもなら許されるという安易な考えはホント止めて欲しいです! 私は許しませんからね!!笑
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結局、個人的には「やっぱりトレボロウの脚本トホホ…でもバヨナホラー演出最高!」な1本でした。
(トレボロウと共同脚本の人も前作からの続投なので、その人の技量も疑い始めています)

【p.s.】
皆さん! 気付きましたか??
クレジットに“ギレルモ・デル・トロ”の名前があったのを!!
デルトロ仕込みのゴシックホラー演出が見受けられる今作でしたが、長編デビュー作でお世話になったデルトロへ、バヨナから「ここまで出来るほど成長しましたよ」という感謝の意が込められているのかもしれませんね。そんなこと考えてたら泣けてきます😂 笑

ところでジェフ・ゴールドブラムお久しぶりの登場だったのに、あれで終わりって…きっと完結作で大活躍するってことでいいですよね?!笑

あと散々褒めといてなんですが、モササウルスとティラノサウルス🦖に頼るのそろそろやめませんか?
彼らの登場は確かに最高なポイントではあるのですが、さすがに頼り過ぎかと…3作目でも彼らをフィーチャーしてたら劇場で「またかよっ!!」って声出してしまうかもしれないので、そろそろね… 笑


【映画情報】
上映時間:128分
2018年/アメリカ🇺🇸
監督:J・A・バヨナ
脚本:デレク・コノリー
コリン・トレヴォロウ
原作(キャラクター創造):マイケル・クライトン
音楽:マイケル・ジアッキーノ
出演:クリス・プラット
ブライス・ダラス・ハワード
レイフ・スポール
ジェームズ・クロムウェル
トビー・ジョーンズ
テッド・レヴィン
B・D・ウォン
ジェフ・ゴールドブラム 他
概要:恐竜が放たれたテーマパークが舞台
のアドベンチャー『ジュラシック・
ワールド』の続編。火山噴火が迫る
島から恐竜を救い出そうとする者た
ちの冒険を活写する。
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