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裸足の季節のmumbleboyのレビュー・感想・評価

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.0
U-NEXTも前より良い映画が選べる様になって気がします。この映画も洋画ページで色んなテーマで作品を紹介している中での「美少女すぎる子役たち」というくくりで見つけました。普通に探していたら出会わなかった作品かも知れません。トルコ映画というのも多分初めて観ました。

ここからはちょっと内容に触れて(ネタバレはしないと思いますが)書きますが、どっちかというと何も情報を入れずに観た方がより楽しめる作品だと思うので気になる方はとりあえず観てみてください。僕個人としては凄くお勧めです。特に「ハチドリ」とか好きだった方はこれも好きなんじゃないかと思います。

最初はああ、トルコが舞台の映画って凄く新鮮だな〜って感じで、学校から帰宅する5人の姉妹と数人の男子たちが海沿いを歩いてはしゃいで1人が海にドボーンと入れられて次から次へと入っていって終いには全員で騎馬戦をやる始末でした。トルコってイスラム圏だけど以外と無邪気で開放的なんだな〜、ここから甘酸っぱい青春劇が始まるのかな、と思いました。。。が!、、これはそういう映画ではありませんでした。家に帰るとお婆さん(両親は既に亡くなっている)が激怒、何かと思いきや近所のお節介なおばさんが彼女たちが海辺で遊んでいる場面を目撃していて騎馬戦をやっているのを下半身を男子の首にこすりつけていたと、あまりにも最低な見方でチクっていました。後に叔父が帰宅し、娘たちは外出禁止になってそこから家の中で嫁に行くために家事を学ぶだけの毎日が始まる。

そこから様々なことが起きて特に末っ子のラーレの奮闘がめざましく素晴らしかった。これが2015年公開とそんなに昔でもないのに未だにトルコの田舎はこんなことがまかり通ってるのかと思いました。あまりにも保守的で理不尽すぎて、よかれと思って大人たちがやっていることが少女たちの人生の大切な時期を奪って人生そのものを狂わせてしまっていました。先日観た「カセットテープ・ダイアリーズ」でも主人公の少年は本当に良い子なんだけど保守的な親が良かれと思ってやっていることが彼の自由と可能性を潰していました。これは保守的な国や地域あるあるなのかも知れないですね。今まで皆んなこうやって生きてきたということがもうとっくに時代遅れでその長年のやり方は新しい世代には不幸の押し付けでしかない。

まあそんな憤りさえ感じてしまう理不尽さ満載な映画ではあるけど少女たちだけの純粋で無邪気な世界の描き方も最高でした。かなり昔に観た「ヴァージン・スーサイズ」もこんな感じだったかな(あまり覚えていないのですが)と思ったりもしました。間違いがあってはいけないとルールで少女たち縛り付けるのは彼女たちをちゃんと愛して信頼していないからだと思います。性愛は人生の醍醐味の1つだとおもうのでそれで思い悩んだり気づついたりすることがあってもそれをちゃんと体験させてやるのがベストな親や保護者のあり方なんじゃないかと思うのですが。

とにかく素晴らしい映画でした。
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