渡邉ホマレ

ミッション:インポッシブル/フォールアウトの渡邉ホマレのレビュー・感想・評価

4.3
映画というメディアそのものの起源というか、原点は「アクション」であることに他ならない。
それを突き詰める形…というか、限界突破してしまったのが本作だとは言えないだろうか?

ストーリー構成は単純ながら、アクションを生かすために拵えたせいか、どう考えても無理が生じており、どう考えても前作『ローグ・ネイション』のスマートさには程遠い。
完璧なストーリテリングをこそ是とする者ならば、そのアラを突きたくなるのも仕方がない事だと思う。

ヘイロージャンプ、ノーメットのバイクアクション、カーアクション、ヘリバトルから錐揉み着地、そしてボルダリング。
現代のCG技術を駆使したなら、これらのアクションを危険なく再現する事は可能だろう。金さえかければ「容易い」と言ってしまっても良いのかもしれない。

しかしながら本作のアクションからは、とんでもなく「生身」で「危険」な、そして「歴史に刻まれる」映像の臭気のようなものが漂っている。
テクノロジーが限りなく前進するものである以上、2018年現在の技術で拵えられたCGは、いつかは「古くなる」。だが「生身」で「本人」が行った事をこれでもかと誇示する本作のアクションは、たとえそれがテクノロジーによって再現可能であろうとも、色褪せる事なく映画史に刻み付けられるだろう。その証拠に、例えばバイクやカーアクション、ボルダリングなどは、本シリーズの過去作で既に披露されている。これらを再び、敢えてよりエクストリームに表現することによって、本作のアクションは、過去作の集大成的な「刻み直し」が行われているのだ。

ややこしい言い方をしてしまったが、要するに本作は「とんでもないアクションは、繊細なストーリーに勝る」(もちろんその逆も然り)事を証明した。

また誤解なきように記載すると、本作のストーリー、アラはあれども決して駄目ではない。
『007』ではなく『スパイ大作戦』である本シリーズの意味は、「チームによる世界の危機の回避」であり、そういう意思表示が本作のストーリーではより顕著に示されているし、何よりシリーズである事、物語としての連続性がある事をきちんと表明する意味では、前作『ローグ・ネイション』より優れていると思う。

そんなわけで大満足。
IMAXでトム・クルーズの必死な形相をしっかりと確認しながら、圧倒的なアクションに没入する事を強くオススメしたい。
テレビ画面やスマホ画面にはとても収まらないスケール感を是非劇場で体感してほしい。

後からスマホでチェックして、「アクションはまあまあだけどストーリーがなあ…」と宣うのは、本作においては特に愚かな行為だ。