渡邉ホマレ

猿の惑星:創世記(ジェネシス)の渡邉ホマレのレビュー・感想・評価

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偉大なるシーザー3部作
その始まり。

なぜ猿の惑星は猿の惑星となったのか…その起源と共に、最初のエイプ・シーザーの誕生と成長を描く。

旧5部作に連なる物語ではあるが、『猿の惑星』未体験の方はここからスタートしていただくのが良いだろう。

何故なら本作は、旧5部作の出発点でありながら、旧5部作を遥かに凌ぐ出来であり、何より『猿の惑星』というシリーズを見事に語り直す事に成功した偉大な一本でもあるからだ。

旧5部作の1作目のネタバレ…とはいえもはや常識というか、サムネイルやソフトのパッケージになってしまっているくらいに当たり前の事として、「あの前提」があるのだが、本作では「何故そうなるに至ったのか」が非常に現代的解釈として描かれる。

しかもその発端を、「単に人間の愚かさ」としてだけではなく、人間の愛情が持たらしてしまうという皮肉…「善かれ」として行った行為が招いてしまうという悲劇として描いた点にこそあるのだ。

しかしながら同時に、人間の愛情によって育まれたからこそ、「シーザー」という稀代のヒーローが誕生したという、これもまた複雑な構図。

彼が押し寄せる苦難の中で放つとあるセリフはまた、旧5部作でテイラーが放つ重要なセリフでもあり、旧5部作を鑑賞していればそのリンクに、鑑賞していなくとも思わず心が震えてしまう事だろう。

美しく恐ろしく、そして感動的な大傑作。
そして偉大なるシーザー3部作へようこそ!