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日本で一番悪い奴らのkunicoのレビュー・感想・評価

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
3.8
腐りきってる日本警察の内情を描いたものとしては、すぐに思い出せるものだと「突入せよ!あさま山荘事件」とかがあるんだけど、ここまで堕落して且つ日本社会で起きたこととしては驚愕な内容の映画も珍しいと思う。

驚愕な、とは、要するにシャブやチャカが目に余るくらい劇中に登場して、ここは上海か?アメリカか?と一瞬自国が舞台であることを忘れてしまう描写が続いていたということ。
冒頭で事実に基づきながらもあくまでフィクションとしていたけど、然程実際に起きた事件と変わりは無いと知り、日本もそんなに安心安全クリーンでフレッシュ!な社会では無いのかと思い知らされる。

白石監督の「凶悪」が私に残していった爪痕が深すぎて、そして脳みそと心臓にかかる負担がクセになりそうな重さだったので、警察の汚職ものが最新作と聞き意気揚々に劇場に足を運んだ次第です。
前作と比べてはかなりポップな仕上がりというか、観やすかったと思う。
観客に大きな疑問を投げかけるラストは相変わらず秀逸で考えさせられる。
日本で一番悪い奴ら、とは誰なのか。
(ちょっと観点ズレるけど、あの「エース♡」ってすり寄ってきた女もある意味一番悪い奴だよな)

綾野剛の頑張り様はすごかった!
なんか、集大成だったんじゃないか...?いや知らんけど。
さすがに40とか50って言われたらどう考えても三十路にしか見えないので え? て思ったけど、酒もタバコも女も知らない清純な青年があんな腐れヤグサみたいに落ちぶれていく様をたっぷり見せてくれたのは面白かった。
濡れ場は数あれど、泣いてビンタしながら犯してるシーンは充満する狂気に見入ってしまいました。

あとデニス!植野!最の高だった!!何回笑ったか分からない!笑

しかし警察という組織の汚さには幻滅、いや、辟易した。
市民の安全を守る=チャカあげるためにシャブ輸入する、という思考が理解できないから諸星は信用できない。その考えを支持している周りの同僚も信用できない。では諸星が捕まった時に口をつぐんだその他の人間はどうなのか?実際に手をつけていないがその実態を黙認して泳がせていた人間はどうなるのか?もはや警察組織に信じられる奴なんて1人も残っていないのではないかとさえ思う。
結果主義なサラリーマン社会では成り立たない組織だということを、内部の誰もが認識する必要があるはずだろう。

関係ないけど、これって警察官限定試写会とかしたのかな?
絶対楽しいと思うけど!笑
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