スティーブ

SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁のスティーブのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ご存知BBC版『シャーロック』の設定で本家ホームズをリファインした作品。美術はしっかり作り込んであるし、何より作中のすべてがシャーロックの頭脳、『精神の宮殿』の中での出来事というメタ構造であり、過去と現代をクロスオーバーさせる演出がファンとしてはおもしろかった。正直単体の作品としては弱く、そもそも『シャーロック』を未見の場合、よくわからないところも多いのだけど、反面ファンムービーとしてはよくできているし、何より結局明かされずじまいだった伏線など、本編に繋がる要素も出てきて、ますますそちらの続きが気になった。

肝心の事件やトリックそのものは他愛ないものではあるものの、犯行の動機と犯人の正体は時代性を考えればかなり新しい。というより、むしろ現代的な動機を過去に持ち込んだ、と言えるかもしれない。なので、おもしろくはあるものの、いささかヴィクトリア朝ロンドンとは食い合わせの悪さも生じており、痛し痒しと言ったところ。

ともあれ、尺も90分とちょうどよい(ドラマと同じボリューム)なのでドラマ版のファンなら確実に見て損なし。