うるぐす

何者のうるぐすのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.1
【誰だって「何者」になりたいけど、なれないからこうして批評してしまう。】


原作の力強さとキャストのハマり方と提示の仕方がとにかく素晴らしい。

ただ、予告編作った大バカ者は全国に土下座をしてほしい。なんだあれ。IKKOに「なにもの〜」を言わせるのもわからんし、「あなたもきっと裏切られる」みたいなやつ。キャスト、スタッフの頑張りを無下にするなよ。

キャスト
はっきり言って最高でした。全員ハマってた。佐藤健はちゃんとカッコ良くなかったし、二階堂ふみなんて10人監督がいたら10人があの役を二階堂ふみ選ぶんじゃないかくらいの仕上がり。明るい菅田将暉はもはや鉄板だし、有村架純はいつも親のことで悩んでる(ビリギャル、いつ恋)。岡田将生のあの胡散臭さも最高で、山田孝之は完全に理系の院生でしかなかった。

多分、僕は拓人(佐藤健)に近いと思う。分析好きで、自分の視点に少なからず他人とは違うものがある、と思っている。じゃなきゃ長々とレビュー書いたりしないか笑
でも、本当はそうじゃなくて、光太郎も瑞季もみんなそんなのは多かれ少なかれあるんだよね。そりゃ人間2人いたら相手の人がどんなものかを考えるし探るでしょ。でも、他人を分析してる時って、どっかで自分の視点を神の視点だと感じてしまうんだよね。って今言ってる俺もまさにそう。そして、twitterがその視点が神かどうかを数字で判断してくれちゃうんだよね。リツイートだとかお気に入りだとかフォローだとかで。
この映画って就活はあくまでテーマのひとつに過ぎなくて、大枠としては、「社会・人間関係の本音」みたいな、そっちだと思った。だから拓人を悪だと言い切れる人を僕は信用できない。ほら、鉄棒の授業で、自分だけ逆上がり出来ないのは嫌だから誰かひとりでもいいから自分より前に失敗してほしいなと思うじゃん。それが友達ならなおさら後で慰め合ったりできるんだから、友達に失敗して欲しいなと思う。その感情は誰にでも存在するんじゃないのかなぁ。。


この映画、小さな違和感が序盤からずっとあって、それがとある場面で一点に集約して返ってくる。その時の仕掛け、すごく鮮やか。原作を読んでたときにこの発想はなかったな、って素直に思った。もしこうなることを予測して書いてたとしたら朝井リョウはやっぱりすごいし、それ以前に三浦大輔がとにかくすごい。

つまり、この映画は面白いんだ。
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