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KUBO/クボ 二本の弦の秘密のあのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
5.0
①2017.11.19 109シネマズHAT神戸 字幕
②2018.1.1 塚口サンサン劇場 特別音響
③2021.1.30 塚口サンサン劇場

上映 字幕
配給 GAGA
字幕 石田泰子

日本の文化において 文化の継承や 口頭で受け継がれる物語、伝統はとても大切なもので
それは源氏物語だって 桃太郎だってすべてのお話に通ずること
この映画はクボがストーリーテラーであることでまさにそれを表現してくれた作品

主人公が何か問題を抱えていたり
一筋縄ではいかないけれど 仲間を引き連れて旅に出る途中で成長したり
文字通り大物のヴィランが出てきたり
日本の物語のベタ中のベタなことをやっているんだけど
画できちんと見せていたり 絵本をめくるような、絵巻物を観るような、まさにそんな感覚
人物たちの大きさが極端にバラバラなのも バランスが良い
(遠景で歩いているショットの美しいこと!

どのシーンも素晴らしいけど
折り紙が舞うところは紙の音が心地良くて クボとお母さんが寄り添いあっている横に影が映っている画は ストップモーションであることを最大限活かしていている画づくりにライカの気合を感じた
特にLAIKAならではの紅葉の船のシーンはCGには出せない質感、奥行き、葉っぱ一枚一枚の重なり方が圧巻で ため息が出るほど美しかった

じゃあ絵本でよくないか、
これを映画にする意味ってなんなのと考えたときに、声を当てているマコノヒーやシャーリーズ・セロンが 自分の色をしっかりと出してキャラクターに息を吹き込んでいることが大事なポイントではないかなと

出てくる人物が全員愛おしいのがわたしのすきな映画の条件のひとつなんですが
マコノヒーのクワガタのキャラクターはほんとうに場の空気ごと自分の色にしてしまうような魅力があって
しかもクワガタに顔があるんじゃなくてなぜか人間の顔がついてるいわば着ぐるみ的な造形も 温かみがあって良かった(それはクワガタの秘密を知るとさらに納得なんだけど)
『SING』のバスタームーンみたいに 自分を消して演じることと真逆にあって
マコノヒーの演技の幅広さも垣間見られた

音楽もすごく良い
変に和風にするのではなく モダンさと古典をバランスよく混ぜた音がTHE日本になりすぎていなくて素敵

ここはすこしネタバレだけど
3本の弦になったときクボがジャーンとかき鳴らすんですけど
一本目と三本目のオクターブの音で母子にしていて 間に父親の音を入れて家族で鳴り響くのもうたまらなかったな
そういう細かい気配りもできている
ものすごいクリエイターの丁寧さを感じる作品
クレジットの最後の言葉にもグッとくるよね

映画館はエグゼクティブしか埋まってないっていう悲惨な状況だったけど(公開館が少なすぎる)
ストップモーションというアナログの技術がこの映画によって伝承されていくしLAIKAの映画史において大きな1本になると思う いつかアカデミー賞とってほしいな

LAIKAの中ではこの作品が一番すき!
この映画良かったよってたくさんのひとにわたしもずっと伝えていきたい

2021.1追記
クボとサルが最初に一緒にごはんを食べるシーンは もののけ姫のジコ坊とアシタカが鍋を囲むシーンのオマージュではないかと思った
構図、場所、サルのお椀の渡し方などもののけ姫とすごく似ている
アシタカがジコ坊に話を聞くように、何も知らないクボがサルに質問する
前観たときは全然気がつかなかったけど去年もののけ姫6回観たので観ながらうわぁぁぁ!となった 笑

調べてみたらトラヴィス・ナイト監督のインタビューでジブリから影響を受けたと言っていて、好きなジブリ作品のひとつにもののけ姫を挙げていたのできっとそうなんだろうなと思って自分のすきな作品の日米間のそういう影響がめっちゃ素敵だなと思った... 時間ある人英語だけど読んでみてね
https://www.denofgeek.com/movies/travis-knight-interview-kubo-kurosawa-miyazaki-and-more/
あ