アキ

好きにならずにいられないのアキのレビュー・感想・評価

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
3.0
43歳独身男(フーシ)の恋愛奮闘ものであるが、恋愛に不器用すぎるフーシの行為がいちいちかわいすぎてばっちし共感。
親友の存在からフィギュアを愛するその性質まで女心を、というよりは男心をくすぐるキャラ設定で中途のある行為までは大いに関心をもって鑑賞できた。

20代の折柄は当方もいささか剽軽な行動をとりすぎて、そのたび付き合いのあった女性から苦虫をかみつぶしたかのようは表情をされることも多かった中、此作の主人公も随分イタイ(というか現今の視線から見ればむしろ可愛くもあるのだが)行動が目立ち、例えばフーシのハートをキュンキュン♡させてるマドンナに狙いをつけたはいいが、いささか彼女の機嫌の悪い周期に家へ赴いたがためにチャイムを押すも「なぜくるの」と激オコで、扉を閉められ、いったん諦めかけるが、諦めきれず再度チャイムを押そうと伸ばしたその指が実際チャイムの先端に触れるその瞬間まで「押すなぁ…押すなよぉ…」と何度ハラハラしたことだろう。
しかし押す。
で、案の定、話はよくない方向へ転び、沈んでしまう。
フーシよ…それしてしまうとアウトなんだわ…
と思いながらも僕のフーシを応援する気持ちはその時まで何らの変化もなかったわけだ。

それがどうしたことか、映画は中途でかなりよくない方向へ舵を切る
詳細はネタバレとなるので避けるが、フーシの行動が一般的な見地からみてもやや過激になってしまうのだ。
しつこくアタックし続けるのはいい。
また彼女の期待する応えを外して「僕、忙しいから今日は帰るね」と変な男のプライドが影響してか、間違った回答をしてしまうの実にかわいい。
しかし、とあるシーンで”それやったらお前…○○じゃないか”レベルの愚行を犯してしまう。
以降は彼に共感を寄せるのが難しくなってしまった。
というのも、これは女性が苦手云々の領域を飛び越えており、むしろTPO方面の逸脱なんだ。
せっかく丁寧に重ねられてきたフーシへの共感は、残念ながらこの一瞬の戦慄によって雲散霧消に弾け飛んでしまった。


またマドンナの性格設定も幾分過剰気味である。
この映画の醍醐味はとりもなおさず、
”フーシの不器用でありながら女性に果敢にアタックし続ける姿”にあると思うのだが、マドンナのペルソナが上記醍醐味と随分相性が悪く、
むろん、女性特有のアレ。つまり、何というのか、そのぉ、えぇ、つまり、あぁっと言葉にするのは難しいが、そっのぉぅ、よくワカラナイ感じ?てかむしろ女性自身も自身のことをワカッテナイ感じってぇのかな?
急に何で涙を流すのか的な?男性もワカラナイシ、実のところ女性もワカッテナイんじゃないか的な?
そうした一種文学的女性観(最後のアレにも象徴されているとは思う…フーシが可愛そうだ…南無…)、
と実際のマドンナの異様なテンションとが合致せず、それがフーシの過剰な行為とあいまって中盤少しすぎたあたりからは、かなり駄作の色が濃くなってしまったのは率直に言って残念至極なんだよね。
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