TAK44マグナム

アメリカン・バーガーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

アメリカン・バーガー(2015年製作の映画)
3.3
国歌斉唱!


ちょっと前になるんですけれど、マクドナルドでメガビッグマックというのを食したんですよ。
メガマックというのは随分前に食べたことがあったのですが、メガビッグマックはビッグマックの段を増やしたというより単純にサイズがデカくなったメニューでして、ただでさえ食べにくいのが更にメチャクチャ食べにくくなってました(汗)
ボリューム満点なのは良いですが、一口食べるだけで反対側から中身がポロポロと落ちている有様でして、うまく食するには工夫が必要でした。

・・・とまぁ、そんな話はほぼほぼ関係なくて。
今回ご紹介するのは、まだ薄暗い早朝に目が覚めてしまったから観たカニバリズムホラーです。
とは言っても人を捌いて人肉食に舌鼓をうつ場面は殆ど無くて、食材となる「アメリカ人」を殺人集団が屠殺してゆくマンハンティング映画といった方がしっくりくる内容。
複数の殺人鬼がそこらじゅうで目を光らせる変形スラッシャーといっても良いかもしれません。
そして、コメディ色が強い。
何度も小便を頭から浴びるとか、そこそこ笑えるネタも飛び出しますが基本的にネタはオゲレツ。
フィンランド人は実は食人族だった!と衝撃的すぎる大ボラをふいて、フィンランドの人々に怒られないかとヒヤヒヤさせられた「フィンランド式残酷ショッピングツアー」をもっとくだけた感じにしたホラーコメディですね。


ヨーロッパの小国を学習旅行で訪れた、アメリカのボンクラ学生たち。
彼らはランチでハンバーガーを食べたあと、そのバーガーを製造している工場を見学しに行きます。
彼らを歓迎する責任者の男は、エキセントリックでどこか怪しい雰囲気。
ヘンテコなテンションで「君たちは間違いなくアメリカ人だね?」と念を押すように確認してきます。
明らかに不審です。
男が建物に戻ると、今度は森の中から白い防護服にマスク姿の連中がワラワラとわいてきました。
その異様さに学生たちがたじろいでいると、防護服たちは殺人という名の「収穫」を始めます。
ナイフやらオノやらで昇天させられては一輪車に無造作に乗せられて工場へ運ばれてゆく学生たち(の死体)。
つまり、この工場の目玉メニューであるアメリカンバーガーとは、100%アメリカ人の肉を使った人肉バーガーだったのです!
とんでもなくジェノサイドなバーガー屋じゃないですか!

それでもって、そこからは散り散りに逃げた学生たちの逃走劇がメインとなります。
見つかれば速攻で、寄ってたかってハンバーガーにされてしまうわけで、皆んな見知らぬ土地を必死に逃げ惑います。
殺人鬼に見つかればアウト。
なんだか「逃走中」みたい。

ところで、本作はすべての役名が「チアリーダー」やら「カメラオタク(カメラナード)」、「脳筋バカ(ジョック)」といった具合に個人名でなくヒエラルキーや特徴からつけられた記号的なモノで統一されていて、登場人物の個人名は一切分かりません。
それでも別に観るのに困ることは無かったので、別にジョージだかメアリーだかなんて役名はどうでもよいものなのかもしれません。
殆どが死んでしまう映画であれば(苦笑)。
とにかく、いくつかのグループに分かれて、中にはジョック、ナード、チアリーダーが揃った、ポーカーのスリーカードみたいに分かりやすい組み合わせのグループもあって、それがネタとなって笑いに転化させています。
他にも何故か服が破けていって下着だけになってしまう女子とか、安いポルノ雑誌みたいなネタがアホ丸出しでホッコリ。

終盤はご都合主義が目立ってきて、○○が突然に闘争本能に目覚めてランボー化したり、国歌斉唱をしたら助かってしまったりします。
そんなところからコメディメインだとハッキリしますね。
裸にひん剥かれた主人公ナードが逃げ出そうとすると人がやってきて死んだフリを繰り返したり、さっきまで解体してハンバーガーにしてしまおうとしていた連中がある事によって掌を返したように優しくなったりする一連のコントはくだらないながらも思わず笑ってしまいましたよ。
早朝6時なのに(苦笑)。


難しそうなことをいえば、アメリカ製バーガーによる自国食文化への侵食に懸念をしめすプロパガンダなのかもしれないし、まったく関係ないのかもしれません。
そんな事はどうでもよいけれど(苦笑)。
やっていることの割にゴア描写は淡白でイマイチ刺激が足りませんが、しょうもないのをヘラヘラと観て暇をつぶしたい時にはピッタリのチョイスだと思いますよ〜🇺🇸💀🍔


OSOREZONEにて