次男

青空エールの次男のレビュー・感想・評価

青空エール(2016年製作の映画)
3.2
(おっさんの目線で青春を揶揄するのはもう本当にいとも簡単なことだからするべきではない・しちゃいけない、として。)

青春映画というものの作りを考え込んでしまう。この映画は頭からつま先まですべて感動に矛先を向けて作られているような気がして、つまりゴールの感動を逆算にした過程を連ねてる気がして、それって青春の本質と違うんじゃないのかなーと個人的には思ってしまう。

多くの一般人にとっての青春って、なにか、明確なゴールも描かずに突き進むもの、というか。何になるか、なんのためかも不確かなままなのに、それでも損得無視して猪突猛進できることだと思うと、なんだか目的が明確で「青春の無為性」に欠けたこの映画の青春は、すごく狭い青春の捉え方な気がしてしまうんだ。

◆◆

なんていうのは、(数字の上で)青春を卒業した人間の机上の空論で、夜中にポテチ食いながら真顔で観てた僕なんてこの映画は相手にもしてなくて。

この映画観終わった高校生カップルが、この映画になぞらえた口約束とか交わして、青春になってくんかな〜〜。ひ〜〜僕の人生にその種類の青春はなかったからわかんねえっすわ!

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1年から3年までを詰め込むということの難しさは、この映画のリズムに如実に出ていたなあ。1年生時のドラマが開始30分くらいに詰め込まれてたから、助走のないまま映画が盛り上がり出したようで、なんだか慌ててしまった。(そのへん、帝一の國はすごくうまかった) リズムを順守せよってわけではないけど、無意識に求める物語のリズムが存在するのも事実。

怪我、故障、病院前での演奏、夏祭り、絵馬のお願い…。起きる出来事のすべてに既視感があって、その既視感通りのに撮ってるのは、もはや様式美として受け入れるべきなのか。

吹奏楽部と野球部(しかも代替わりアリ)でまずレギュラー部員エキストラがたくさんいて、どちらも見せ場には観客が山ほど必要で、さらにたくさんの楽曲使用と野球・トランペット指導…。画面から感じる以上の労力と費用がかかってるんだろうなあ、なんかコスパわりーな、と思いました。
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